幕間 4.未着手スキルを試そう2

 思いつく限りの”弾”を試してみたので、そろそろ切り上げて残りの一つを試してみたいと思う。次は”分身アバター”だ。今まで放ったらかしだったが、字面からしてわくわくするスキルだ。要はあれだろ?キャラクリした肉体を使えるように成るんだろ?んふふ。


――使ってみるか。


 とは言ったものの、どうやって使えば良いのだろうか。思念操作でできるかな?と”分身”を思念操作で実行してみる。

 その瞬間、目の前に半透明の別ウインドウが開いた。上部には”アバターキャラクリエイト”と表して有る。予想通りだな。オラワクワクすっぞ。

 キャラクリ画面の右半分には仮のキャラクターの全身が写真かと見まごうクオリティで映し出されている。初期は見知らぬおっさんだ。誰だこいつ。

 左半分には細かい部位の項目が並んでいる。気になるのは項目の一番上が”種類”と言う見慣れない項目になっている事だ。今は”人間族ヒューマン”が固定になっていて選択出来なくなっている。これもレベルを上げないと色々解禁されない系なのかもしれないな。

 左の下部には”キャラデータ 0/1”と別枠に記載がある。これはあれかな、将来的には作れる”分身”が幾つも増えるという事だろうか。怪人百面相にでも成れってか。まあいい、今はキャラクリだ。長くなりそうなので一旦その場に腰を下ろすと、クロとユーライカが近付いてきた。


「シロさま、おなかいたい?」

「どうかなされましたか?」

「ん?ああ、いや気にせんといて。今作業中やから。」

「う?」

「作業、ですか……?」

「君らには見えんからねぇ。時間かかるから戻ってたらええよ。」

「いえ、お傍に居させて下さい。ご迷惑でなければ……。」

「……好きにし。」


 ぬぅ、恥ずかしい事を臆面もなく言いよる。これが若さか。

 気を引き締めてキャラクリ画面に目を戻す。さぁ、やるぞ!と膨大な選択項目へ目をやった。




――あー……。


 忘れてた。ボクキャラクリ好きじゃないんだった。

 ちょっとテンション上がりすぎて細かい事を気にしなさすぎたな。ボクは生前からこう言う無数の選択肢のあるゲームが好きではなかった。マルチエンディングとかもその内だ。理由は簡単、めんどうなのだ。

 ADVゲーム、俗に言うギャルゲーやエロゲー等の紙芝居系のゲームは基本的にマルチエンディングなので殆どプレイできなかったし、RPGなんかのレベル制ゲームでの選択肢なんて狂気の沙汰だ。一周するのに何十時間もかかるゲームのマルチエンディングなんてほんと意味がわからない。そんなにおんなじ事を何回も出来るわけ無いだろ阿呆か。

 だがそう言うゲームを好むユーザーが一定数居るのも事実だ。あくまでボクは無理って話。脱線した。話を戻そう。

 まあそんなこんなでキャラクリがあまり好きじゃないボクが、途中でこの作業に飽きるのは必然だったわけで、結果出来上がったのは何とも簡素な物だった。それに、もう一つ問題が有った。

 キャラクターの年齢を弄った際、それに合わせて身体のサイズも上下したのだが、下げた年齢を上げ直そうとした時十歳から上に上がらなくなってしまったのである。なんだ?と思い他にも色々と弄って見た結果、体重や身長も突然制限がかけられたように一定から上に出来なくなったのである。

 結局作れるのはショタかロリの人間種のみになってしまったので、これは不可抗力なのである。ショタやロリしか作れない仕様なのだから仕方ない。仕方ないのだ。


 画面上に完成したアバターは肉体年齢十歳、細身だがある程度の筋肉をつけ、三白眼で超短髪の男の子。身長はルーデリア程だろうか。細部は省こう。入れ墨などの項目も有ったが必要性を感じなかったのでオフにしてある。やっつけにしては結構このみげふんげふん。いい感じだろう。右上に有る保存ボタンをタップして、データを保存する。左下のキャラデータ枠に、今作ったキャラの顔が表示された。


――えっと……これでどうすれば良いんや?まさか作って終わりってわけじゃ……。

《作ったキャラデータを選択する。》

――なるほど、ほい。


 ナビィの助言に感謝しつつ、キャラの枠をタップする。すると画面中央にポップウィンドウが開き「アバターを出力 はい/いいえ」と聞いてくる。一呼吸置いて、「はい」を選ぶ。後になって思えば、ボクはもっと警戒すべきだと思う。


「ふぅ。これで……ぁぇ?」

「シロ様?」


 なにか変だ。今まで何を食べてもこんな事なかったのに、胸の辺りが苦しい。なんだろうこの違和感。等と思っている間に、その違和感はどんどん存在感を増していく。堪らず胸を抑え、思わず足に力を入れ立ち上がる。その勢いで二三歩後退った。

 違和感は腹まで膨れ、苦しさは増す。酷い吐き気が襲ってきた。口に手を当てるが、ダラダラを涎が溢れて止まらない。次第に目には涙が溜まり、流れる。丸めたい衝動を無視して勝手に背中が伸びる。バランスが取れず頭を砂利の地面へ押し付けてしまった。


「シ、シロ様!?」

「ぐっ……!ぐぎゅ……っ!?ぐぐっ。」

「あう、あう。」


ユーライカとクロが突然の事態に困惑しているようだが、構っていられない。取り敢えず身体を起こしたくて片手をついて持ち上げる。ばっと勢いをつけて身体を起こした瞬間、口から大量の液体が滝のように溢れ出た。堪らず咽て咳づく。二度三度咳づいた所で何か大きな異物が喉奥から迫り出してくるのを感じた、次の時には――。


「ぐげえ。」


 ――一息に身体の中からずるりと何が出ていった。だがそれに構う暇も無く咳き込んだ。


「げほっ!がはっ!かはっ!はっはっ、はぁはぁ、はぁ…………。」


 まだ残っていたらしい液体を吐き出して涙を拭い、漸く息が整った。な、なんだったんだ……?

 歪んでいた視界が正常に戻るに連れ、目の前の信じられない光景を目にする事になる。砂利の上に横たわるそれは人の形をしている。短い髪で。目は半開き。そこには十歳前後の少年が横たわっていた。全裸で。


「……ああ?」

「シ、シロ様……?こ、これは一体……?」

「だれ?」


 その少年には見覚えがある。それも当然だろう、つい先程まで自分で作っていた・・・・・んだから。そう。

 眼下に横たわるその男の子は今し方自分でクリエイトしたキャラデータの君だった。


「……っざけんなよまじで……。」


 どっと力が抜けた。ふざけんな……。

 なんなんだこの転生は。形態が変われば激しい痛みに襲われ、自分のアバターを作ろうと思えばいちいち苦しい思いをして吐き出さなくてはいけないのか?どう言う仕様なんだよ、もっと……もっとこう、ぱぱっとスマートな感じでいいじゃん!なんでこんな変にリアル志向なんだよふざけんな!やり直しを要求する!こんなの不当だーー!!……はぁ。

 脳内でいくら喚こうが聞いているのはナビィくらい、ボクの嘆きは虚しく脳内を木霊するのだった。




「で、これどうすんの……。」


 ボクの目の前には先程からピクリとも動かない”分身アバター”が転がっている。えっ死んでないよね?

 ボクの嘆きに答えたのはいつだってナビィだった。


《”分身”に触れ、”インポート”と念じれば良い。》


 なるほど。流石ナビィペディア頼りになる。

 さて、とインポートとやらをしようと寝ている”分身”に手を伸ばしたところ、未だ困惑顔のユーライカが目に入った。一応説明しておいたほうが良いか。因みにクロはしゃがんで”分身”をつんつんしている。裸の子をつんつんしちゃ駄目だよ?


「えっと、ユーライカ。」

「は、はい。」

「これはボクの別の身体です。」

「別の、身体……ですか?」

「そうです。今からこれを動かしてみます。」


 何故敬語。そう言えば、いつの間にかボクはユーライカの事をさん・・付で呼んでないな。何時からだっけ……まあいっか。面倒だったんだろう。

 余計な雑念は頭の隅へ寄せて”分身”へ触れ、念じる。


――”インポート”。


 ずっ、と引っ張られる感覚と共に視界が真っ暗に成る。あれ、いつの間に目閉じた?

 どさり、と音と共にユーライカの悲鳴が聞こえる。それを合図に、瞼を上げた。眩しい、どうやら空を見上げている、否、仰向けに横たわっている様だ。仰向けなんて何時ぶりだろう。地竜の身体だと仰向けになれないんだよね。……仰向け?

 ばっと状態を起こす。何と言う懐かしい感覚だろう。それどころか、全身にその懐かしさを感じる。これは――。


「人間の、からだ……。」


 やけに高いような低いような声に驚き、口を抑える。直ぐに手を離して両の手を眺める。くるくると角度を変えて見る。次に顔をまさぐり感覚を確かめる。確かにボクは人間の体に成っているようだった。


「人間に未練なんて、無かったつもりやったけど……。」


 こうなってみて、捨てた筈の感覚に戸惑う。懐かしさが消えない。元の自分の身体ではないだろう、それでもやはり……。


「シロ様!シロ様っ!」


 ユーライカの悲鳴ではっとする。ほったらかしだったな。なんかめっちゃ泣いてるし、いい加減可愛そうなのでそろそろ声をかけようか。


「ユーライカ。」

「シロ様!嫌です!置いて行かないで……!」

「ユーライカさーん?」

「シロさまぁ……。」


 あれ、聞こえてない?


「おーい。ちょっとー?」

「なによっ!?」


 仕方ないので立ち上がる感覚の懐かしさに引きずられながらも、ユーライカの元まで歩いて再度声をかけたが、取り乱している彼女が普段聞かないような言葉遣いで振り向いた。こっちが素かな?やっぱ普段のは作ってたのかしら。


「シロですけど。」

「なにをっ!…………えっ?」

「シロですけど。」

「シ、シロさま、なのですか……?」

「せやで。」

「その訛り……本当に……?」

「しつこいな、シロやっちゅーに。言うたでしょ、別の――。」


 言った所で、ユーライカにタックルを喰らって後ろに吹き飛ぶ。なので当然、砂利の地面に尻餅をつく。全裸で。


「痛ってぇ!?痛い痛い!」

「し、しろさ、しろしゃまぁ……。」


 ボクの首に腕を回し僕と一緒に吹っ飛んだユーライカが、依然ボクに縋りついたままぐじゅぐじゅに泣きじゃくっている。ボクは生尻に走る砂利の激しい痛みを感じながら暫く喚き続けた。




「た、大変お見苦しい所を……申し訳有りませんでした。」

「ええでって言いたい所やけど尻めっちゃ痛い。」

「も、もうしわけありません……。」

「めっちゃいたい。」


 その後漸く落ち着きを取り戻したユーライカが顔を真っ赤にしたり真っ青にしたり忙しい様子で半べそながらに平謝りしている。ボクも大人げないとは思うが、すっごく痛かってん。真面目に。


「シロさま、すごい。」


 今までずっとボクの方を凝視していたクロが突然声を上げた。


「シロさま、いたくてもぜんぜん、おかお、かわらなかった。」

「えっなに?顔?」

「ずっとおなじかお。すごい。」


 どういう事だ?とユーライカに意見を求める為顔を向ける。


「そ、そういえば、先程から表情がお変わりになって居られませんね……。てっきり怒っていらっしゃるからかと……。」


 表情が変わってない?なんだそりゃ。そんなわけ無いだろ。半信半疑だが、一応確認してみよう。ナビィえも~ん。


《表情筋の項目がオフになっている。》

――は?

《表情筋の項目がオフになっている。》

――……えっそんな項目ないやろ……。


 と思ってキャラクリ画面をもう一度開いてみる。膨大な項目をスクロールしていくと、確かにそれは有った。


――わかるか!なんでこんな項目あんねん要らんやろ!?

《要る。》

――要るぅ?

《無表情萌え。》

――無表情、萌え……だと……?

《無表情萌え。》


 無表情萌えならば仕方ない。


――因みに変更はどうやってすんの?

《出来ない。》

――えっ……。

《現状キャラデータの一部変更は出来ない。一度データを消して作り直すなら可能。》

――……因みにどうやって消すの?

《自らの手でその肉体を破壊すればいい。》


 …………このままでいいです。

 ともあれ、どうにも尻が痛いのでさっさとトカゲボディに戻りたい。いつまでの抜け殻状態で元の体を放っておくのも心許ない。アバターが遠隔式だったら良いのに……。という訳で戻り方を教えてプリーズ。


《元の体に触れ”エクスポート”と念じればいい。》


 なるほどさっきの逆か。簡単でいい。

 早速ボクは白い間抜け顔のトカゲボディに手を当て、”エクスポート”と脳内で呟く。すると先程と同じように引っ張られるような感覚を覚えた後、今度は地竜の身体で目が覚めた。目の前には”分身”が事切れたように横たわっていた。


「シロ様!お戻りになられたのですね。」

「すまんね、心配かけたみたいで。」

「いえ、ご無事で何よりです。」


 ユーライカに謝意を示して身体を起こし、腕やら尻尾やらを回して見るが特に問題無く戻れたようだ。もう一度”分身”に目をやるとクロがまたつんつんしてた。

 しかし、これが”分身”か。とてもめんどくさいスキルだ。まずキャラクリがめんどくさい。アバターが腹の中で作られて口から出るのもしんどい事この上無い。年齢や体の大きさが一定以上に上げられなかったのも、この口から出る・・・・・と言う仕様の為の制限なのだろう。つまりボクの身体がこれ以上大きくならなければ作れるのは子供サイズのアバターのみだという事だ。もしかしたらスキルレベルの上昇に拠って解決されるのかもしれないがそれも確証はない。

 めちゃくちゃ面倒くさく微妙な仕様のスキルだが、久しぶりに感じた生身の人間の身体、その感覚には惹かれるものが有る。未練など無いと思っていた人の身体も、やはりしっくり来てしまうのだ。アバターを操っていた時間は長くないが、すっかり心を掴まれてしまっている。参った。と、ここで思い至る。もしかして――。


――ナビィ、もしかしてアバター状態なら物の味も感じるんかな?

《肯定。味覚機能はデフォルトでオンになっている。》

――やっぱり!


 つまり人間の身体のアバターを操っている間は料理の味も楽しめるという事だ。これは吉報だろう。転生してからのこの身では味覚を感じる事が出来ていない。お陰で助かってはいるものの、やっぱり美味しいものを食べたいという欲求はあるのだ。空腹にもならないこの身でも、それは変わらないようだ。それに、人間の体なら恐らく空腹にもなるだろう。これはますますアバターの有用性に心惹かれる。アバターを出す時はかなり苦しかったが、一度出してしまえば荷馬車にでも放り込んでおいて、必要な時に都度入れ替われば快適なお食事ライフが可能かもしれない。期待に胸が膨らむ。


《補足。アバターの身体機能はその種族に準ずる為、当然排泄行為も必要になる。》

――えっ。


 いや考えれば当然か。ついでにもう一つ質問しておこうかな。


――アバターに乗ってる時に死んだらどうなるん?

《アバターの肉体が破壊、死に至った場合主人格の意識は強制的に主肉体に戻る。》


 なるほど、その辺は親切設計なのね。確かにアバター状態で死んだらそこでゲームオーバーですなんてのは御免被りたい。そう考えると改めて恐怖心が湧いてくる。このアバターって結構無防備な事に気づいたのだ。すっと横たわるアバターに目をやって鑑定してみる。何というか、案の定だった。

 アバターは名無しのレベル1。ステータスの数値も出会ったばかりのアリーくらいしか無かった。おまけに全裸だ。今魔獣に襲われていたら一分と保たなかっただろう。こっわい。……あれ、スキル欄が空だ。


《アバターの使用可能スキルはデフォルトで主人格の物と共通。アバター毎に使用の有無を設定する事も出来る。》


 なるほど。そういやアバターに入ってる時も普通にやり取りしてたな。


――そういや、これレベル1やけどこれは変更できひんの?

《否定。各アバターは主体の半分のレベルまで任意の設定が可能。》

――ほうほう。

《ただし、アバターに振り分けたレベル数値は主体から引かれる事になる。》

――は?


 それを聞いた途端一瞬血の気が引き、慌てて自分のレベルを確認すると、ナビィが言った通りボクの14有ったレベルが13になっていた。心のムンクが叫んでいる。脳内で声にならない悲鳴を上げているボクにナビィが続けた。


《心配は無い。アバターを戻せばそのアバターが有していたレベルは主体に還元される。》

――あ、焦った……戻るのね。

《肯定。ただし、アバターが死亡した場合はその限りではないが、破損したアバターを喰らう事で有していたレベルの半数が還元される。喰らわない場合は還元も無い。》

――そ、そう……どっちにしろアバターを殺さないほうがええって事ね……。

《そう。》


 やっぱりシビアだこのスキル。


――有してたレベル、って事は、アバターが上げたレベルがそのまま帰ってくんの?

《肯定。しかし、レベルの還元は主体から振り分けられた物以外はキャラクターデータスロットに依存する。その為同スロットのデータでは過去還元した数値は重複されない。》

――うーん……?えっと、つまり、仮にデータスロット1レベル1のキャラを10に上げると戻して10還元されるぅ、そのデータを消して新しく作ったキャラでまたレベルを上げてもレベル11からの数値、つまりこの場合は1レベルしか還元されないーって事……かな?

《概ね肯定。最後の場合はそれに加え主体から割り振られたレベル数値も加わると付け加える。》


 なるほど理解出来た。つまりスロットが変わらない限り何度リセットマラソンをしても意味はないという事だろう。それにしてもこの仕様は大変便利じゃなかろうか。レベルが上がり難くなった狩場でアバターがレベルを上げて、それを一気に自分の物に出来るのだから、始めの内は一気にレベルを上げられるチャンスだろう。アバターを損失するリスクも有るが、自分の有したスキルが有ればそう簡単に死ぬ事もないだろう。こういう仕様があるなら、シビアだという評価も覆しても良いかもしれないな。あとで知った事だが、レベルだけでなくステータスもある程度弄れるらしい。あの膨大なキャラクリ項目の中にそういうのも有るという話だ。ほんと自由度高いね。


――そういや、アバターを戻すってどうやんの?消えろ―とか念じればええの?

《飲む。》

――えっ。


 一瞬耳を疑った。……のむ?のむってなに?


《アバターを身体に戻すには、生存状態のアバターを飲み込めばいい。嚥下すれば直ちに肉体に分解吸収される。》


 頭に過ぎったのは自分が鵜飼の鵜の如く涙目で少年を飲み込む画。出す時も相当苦しかったのに、今度は入れろと?

 い、いや。大丈夫だ。レベルを還元する際の話だから、何も今直ぐやらなくてもいいんだ。大丈夫、先延ばし出来る。


《また、人格が乗っていない状態のアバターが肉体を維持できるのは15時間。それを過ぎると溶けて自壊するので、用のない時は戻しておく事を推奨する。》

――…………。


 前言撤回、やっぱシビアだこれ。


 その後、涙目になりながら幼い男の子を一気飲みする大トカゲ、と言うショッキングな場面を見た子供達が、翌日までボクに近付こうとしなかったのは言うまでもないだろう。くそう。

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