武蔵と日本拳法 2008年 4月5日 初出
@MasatoHiraguri
第1話 電子ブック版 はじめに
この「武蔵と日本拳法」という本は、二〇〇八年四月に、紙の書籍として出版されたものです。
その前年の日本拳法の公式戦で、我が母校の拳法を久しぶりに見た私は、思想の重要性を痛感しました。つまり、いくら拳法の技術を教える優秀な人間が沢山いても、そこに一貫した理念がなければ、日本拳法とは単なる「防具をつけたケンカ」でしかない、ということです。
それを知ってもらうためにこの本を書き、どうせならばと、全国の大学の日本拳法部にも送付しました。みなさん、さぞかし驚かれたことでしょう。いきなり、誰かもわからぬ人間から、たとえ非売品であれ「日本拳法とはこういうものだ」と、偉そうな本が送られてきたのですから。
私としては、技術ではなく「日本拳法の思想」を個人的に書いてみただけなのですが、こういう切り口によって、日本拳法に親しみを持つ人が増えてくれればと思っています。
私はまた、二〇一〇年八月に「思い出は一瞬の中( うち) に」という本を、電子ブックという形で出版しました。
「武蔵と日本拳法」が理論書であるならば、「思い出は一瞬の中( うち) に」はその応用編です。宮本武蔵が出てくる、なにやらこむずかしい日本拳法論と、私の個人的な思い出というスタイルで書かれた面白おかしい日本拳法の話とは、形は違っても内容的には同じことを言っています。日本拳法の精神世界に、うらおもて両方から光を当てているのです。
ですから、この「武蔵」と「思い出」を共に読むことで、日本拳法の理解がさらに深まることでしょう。理論が先でも、日常生活に日本拳法が応用された話を先に読んでも、どちらでもかまわないのです。
日本拳法をやったことのない人でも、殴る技術ではなく原理と思想を理解すれば、毎日の自分の生活や、遠い昔の思い出の中に「日本拳法的なるもの」を見つけることができる。
そうすれば、なんでもないような自分の人生が、けっこう面白くなるかもしれません。
二〇一〇年十一月吉日
平栗雅人
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