第84話 雪山と4層のドラゴン
◆第4層……雪山
「リオ、バリアを頼めるか?」
「う、うん!」
リオが全員にバリアを張った。外気の寒さが一気に抑えられた。
俺達は今、4層に来ている。
4層は他のダンジョンと同じで一本道のようだ。
「おぉ! バリアがあると快適だな!」
「火山でもバリアのおかげで助かったんだ。そう言えば、レン達は火山をどうやって攻略したんだ?」
あの暑さをバリア無しでどうやって攻略したのか気になったので、聞いてみた。
「あぁ……火山は水魔法で頭から水を被りながら、ひたすら走ったな……」
「あれは、苦行でした……魔力がもってよかったです」
2人が遠い目をしながら答えた。余程辛かったんだろう……
「そ、そうか……リオには感謝しないといけないな」
雪で遊んでいるリオの頭をそっと撫でておいた。
俺達は、先に進むことにした。
※ ※ ※ ※
「確か、この階層にドラゴンがいるんだったよな?」
しばらく歩いていると、レンが聞いてきた。
辺りは相変わらずの雪景色だ。
「他のダンジョンはそうだったが、ここもいるとは限らないぞ?」
「岩山はロックドラゴンで、火山がフレイムドラゴンだったんだろ?雪山にいるとしたら……ユダ、水とか氷とかのドラゴンっているのか?」
「色々いますよ。水の有名なドラゴンだと、アクアドラゴンやシーサーペントなんかがいてますね。氷だと、スノードラゴンでしょうか」
「へぇ、ドラゴンにも色々いるんだなぁー」
「ドラゴンは各地に群れを作って住んでるそうですよ。自分たちの住処に来る者には容赦なく襲い掛かるそうです」
「ってことは、ドラゴンが人里を襲ったりしねぇのか?」
「そうですね……過去に人間がドラゴンを討伐するために住処に入ったことがあるんですが、あの時は国が1つ滅んだと記録にはありましたね」
「確かに、群れだとキツイかもな」
「普通、1匹でもキツイよ!」
俺が呟くように言うと、リオにツッコまれた。
1匹だと、ほかの魔物と大して変わらないと思うんだが……
「祭壇があったぞ!」
マップを見ながら進んでいくと、祭壇が表示された。祭壇の少し先に丸い空間があるので、何かありそうだ。
「遂にドラゴンを見れるんだな!
もし、ドラゴンがいたら、俺に戦わせてくれねぇか?」
余程ドラゴンと戦ってみたかったのか、レンが嬉しそうに聞いてきた。
「別にいいぞ、辛そうだったら助けてやるからな」
「ジンに助けなしで倒してみせるさ!」
俺達が雑談をしていると、祭壇のところまで辿り着いた。
祭壇の横には大きな扉があった。
「この先か……」
レンが扉を押すと、扉が音を立てながら、ゆっくりと開いた。
扉の先は氷の壁に囲まれた円形の部屋になっていて、中央には氷の塊の様な魔物が横になっていた。
魔物は大きな翼を折りたたんで器用に蹲っている。
「あれって……」
「まさか……」
魔物を見たリオとユダが、固まってしまった。
「どうしたんだ?
さっき話してたドラゴンじゃねぇのか?」
「あのドラゴンは『フロストドラゴン』だと思います……」
「思うってどういうことだ?」
珍しく、博識なユダが言い切らなかったのが気になったので、聞いてみた。
「御伽噺でしか聞いたことがないドラゴンだからです。
子供の頃に見た本に書いてあった絵にそっくりなので多分合ってるかと……鑑定してみてください」
鑑定してみると……
----------
【フロストドラゴン】Lv.90 / SSランク
【スキル】不明
【補足】不明
----------
分かったのは、名前とレベルとランクのみだった。
今まで、補足が不明と表示されたことはあったが、スキルが不明になるのは初めてだ。
「フロストドラゴンで合ってるみたいだな。
ランクがSSだが、1人で戦うのか?」
念の為に、レンに確認する。
「当たり前だ!
俺が瞬殺してやる!」
レンがアイテムボックスから紅い剣を取り出しながら言った。
「なんだ、その剣」
「この剣は『魔剣 レーバテイン』火属性を強化する魔剣だ」
「まさか、ほかの属性の魔剣も持ってるとか言わないよな?」
「闇
レンはそれだけ言って、フロストドラゴンの方へ走って行った
闇属性以外の火、水、風、土、光の4属性を強化する魔剣を持っているらしい。
お受け直属だからってやりすぎじゃないだろうか……
「ちなみに、あの魔剣は王家からお借りしているものじゃありませんよ。
レン様がご自身で
「勝ち取ったってどういうことだ?」
「王都やダンジョンには様々な冒険者が集まっていますからね……まぁその話はいずれしますよ
それよりも、今はレン様の戦いを見なくては!」
ユダに話をそらされてしまった。
レンもここに来るまでに色々やってきたのだろう。
今はレンの戦いを観戦することにした。
※ ※ ※ ※
結果を先に言うと、圧勝だった。
レンが近づくと、フロストドラゴンは面倒くさそうに立ち上がり、爪で斬り裂いてきた。
レンは爪を魔剣 レーバテインで受け止めると、爪が溶けるように切り裂かれてしまった。
フロストドラゴンは驚いたのか、1度飛び上がって空中に逃げたが、レンは魔力強化<風>で同じ高さまで飛び上がり、しばらく空中戦をしていた。
「つまらねぇな……」
レンはそう言って、フロストドラゴンの翼を根元から斬り裂くと、バランスを取れなくなったフロストドラゴンはそのまま地面に落下してしまった。
「終わりだ!」
レンが、フロストドラゴンの首元まで歩いていき、トドメを刺そうとした時だった……
フロストドラゴンが口を大きく開けて、レン目掛けてブレスを吐いた。
ブレスは空気を凍らせて、大きな氷の塊を作り出した。フロストドラゴンが余裕の表情になったのも束の間、氷の塊から湯気が上がり、溶け始めた。
「効かねぇなっ!」
レンが氷の塊から出てきて、そのまま、フロストドラゴンの首を刎ねた。
戦いの後で聞いた話だが、リオのバリアのおかげで、体が凍ることはなかったらしく、魔剣を使って氷を溶かして脱出したらしい。
リオにずっとお礼を言っていた。
「ジンくーん! 5層に行くよー!」
俺が今の戦いを思い出していると、リオに呼ばれたので、5層に繋がる祭壇へ向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます