第48話 砂の世界


扉を抜けると·····砂の世界が広がっていた


「3層は砂漠か·····暑いな·····」


「日差しがジリジリしてる·····暑いよー」


日差しがかなりキツイ

2層の蒸し暑さとは違い、太陽からの日差しが刺すように暑い

この暑さは、早急にどうにかする必要がありそうだ


「とりあえず、日陰を探してどうするか考えよう」


辺りを見渡すと大きな岩が影を作っていたので、そこに入った


「日陰ってだけで、全然違うね·····」


「そうだな·····水分補給は水魔法でどうにかなるが、いつまでも、こんな砂漠に居られないな·····」


「先に、目的地を見つけないといけないよね?」


「この暑さの中、跳べってことか?これ以上、太陽に近づきたくないんだが·····」


地面にいるだけで暑いのに、跳んで太陽に近付くとか自殺行為でしかない


「今攻略してる人達は、どの変にいるんだろうね?」


リオが話を変えてきた


「攻略者がダンジョン内にいるかは分からないぞ?

3層までは攻略出来ていても、攻略者がダンジョン内にいるとは言ってなかったしな

まぁ、マップに人が表示されれば接触してもいいが·····ん?」


マップを見ながら、攻略者がいないか広域表示にしていると·····


「どうしたの?誰かいた?」


「いや·····目的地が分かったかもしれない」


「そうなの!?どこ?」


「ここだ」


俺は地面を指さしながら言った


「え?ここ?ここってこの大きな岩しかないよ?祭壇なんて見当たらないけど·····」


「正確にはここの下だな、砂の下が空洞になっているみたいだ」


マップには砂漠が広がっているが、よく見るとうっすらと洞窟の様なマップが被さっている


「空洞に?でもどうやって下に行くの?」


「そうだな·····穴でも掘るか?」


「え?」


俺は土魔法と能力付与エンチャントでシャベルを作って掘ってみる


「これじゃダメか·····」


掘ったところから周りの砂が崩れてきて埋めてしまう

砂がサラサラすぎるせいだ·····


「リオ、空間制御エリアコントロールで崩れてくる砂を塞き止めてくれ」


「うん!」


リオが、バリアを張った内側を掘り進めると、砂が崩れてこなかった


「これなら行けそうだ!」


俺はどんどん掘って行くと、数メートルほど掘り進めたところで、砂の質が変わった


「なんだこれ、めちゃくちゃ固いな·····」


まるでセメントだ·····

この硬さは、このシャベルじゃ掘れそうにない


「どうするの?」


「硬いものを掘るにはこれだな!」


そう言ってブラットチェーンをシャベルに変形させる

地面を掘ってみると·····


「ぅお!まるでプリンだ!どんどん掘れるぞ!」


リオが、何か言いたげにこちらを見ているが、気にせず掘り進めた

しばらく掘ったところで地面に大きなヒビが入った


「崩れそうだ!」


俺は1度穴から出て、リオの元に向かった

リオは頬杖を着いて、こちらを見ている


「もうすぐ穴が開きそうだぞ!」


「ジンくんは規格外すぎるよ·····」


「普通だと思うけどなー」


そう言いながら、10cm程の火球を浮かべて掘っていた穴に落とす

火球が穴の底にぶつかって、大きな音を上げながら、地面が揺れる


「え、あの火球、威力強過ぎない?」


「質量を上げてるからな、本来1m程の火球を10cmぐらいまで凝縮したやつだ、魔力コントロールが必要だが、今のリオも出来るんじゃないか?

それより、穴の様子を見てみよう」


揺れが治まったので、穴の様子を見に行くと·····


「でかい穴が空いたな·····やっぱり地下空洞があったみたいだな」


「数分でこの穴開けちゃう、ジンくんって·····」


「とりあえず、降りてみるか!」


俺達は地下空洞に降りた

地下までは50m程あり、かなり深かったので、魔力強化<風>でゆっくり降りた


「真っ暗だね·····でも、涼しい」


「そうだな·····地下空洞はそんなに広くなさそうだから、しらみつぶしに探索してみるか」


マップに半透明で表示されていた地下空洞は、今は濃く表示されている

俺達は光球を浮かべながら、探索することにした



「そう言えば、この階層の魔物はまだ見てないな·····」


「いたよ?ジンくんが一生懸命穴を掘ってる時に」


どうやら、地下空洞への穴を掘ってる間にエンカウントしていたらしい


「そうなのか?どんな魔物だった?」


「んー何か虫みたいなので、尻尾が生えてて·····」


リオの説明を聞いても、分からなかった


「どうやって倒したんだ?」


「雷球でバーンって」


リオは最近、雷球に頼りすぎな気がする

ダンジョンの魔物が魔法系に弱いのも原因なのかもしれないが、そろそろ、新しい攻撃方法を手に入れて欲しい


「なるほどな·····で、砂漠にいた魔物はあいつで間違いないか?」


俺達が話しながら歩いていると、前方に瘴気が集まって、魔物になって行く


「うん!あれだよ!」


「やっぱり、サソリか·····」


【ミアズマスコーピオン】Lv.50 / Bランク

【スキル】ー

【補足】瘴気の塊


大きさは1mはあるだろう

こっちに向かってカサカサと動いてきた


「俺にやらせてくれ」


そう言って、血刀を1本作って構える


「1本じゃイノシシの時みたいに効かないんじゃない?」


「あぁ、分かってる、ちょっと試してみたいことがあるんだ」


俺はサソリに一気に近づいて斬り付ける

思っていた通り、1部分だけ霧になって避けられた


「今度は2本でっ!」


2撃目は血刀を1本増やして斬り付ける

2本同時に攻撃しても霧になって避けられた


「やっぱり階層事に強くなってきてるみたいだな·····」


俺はサソリから距離を取って、血刀を1本にして構える

サソリは2回も斬られたことで怒っているのか『ギーギー』鳴いて俺の方に向かってきた


「これなら効くと思うんだが·····」


血刀に光属性を能力付与エンチャントする

走ってきているサソリに、一気に近づき斬り付ける


『ギギャァァァ·····』

凄い雄叫びを上げながら、サソリが霧になって消えた


「やっぱり、魔法を付与すれば効くな、ここの敵は魔法に弱いのか」


血刀が当たる一瞬、霧になっていたが、血刀が纏う光魔法が当たった時に霧化が解除されていた


「魔法に弱いなら、私がバンバン倒しちゃうよー」


「調子にのって、魔法を使いすぎるなよ

さてと!さっさと、3層も攻略するか」


俺達は地下空洞の探索を続けた

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