第8話 辛口コメントに感謝
「皆様、『ポエむら』10週年記念イベントに、ようこそ、お集まり下さりました。本日の司会は、私、坂下半蔵が務めさせて頂きます。では始めに、Potter5さん、このたびは『ポエむら』最大『いいポ』賞、おめでとうございます。これで、3年連続の受賞となります」
「ありがとうございます! これも、ひとえに皆様の応援のおかげです」
「3年連続受賞ということで、Potter5さんは特別に、ゴールド会員の更に上級の、ダイヤモンド会員となりますね」
「ダイヤモンド会員なんてあったんですか(笑)? どんな特典があるんですか?」
「削除したい会員の名前を書くと、『ポエむら』の会員資格を失わせることができる特別なページにアクセスできます」
「それって、※※ノートみたいですね。これ、いっちゃまずいかな?」
「録音なので、放送のときは、ピーで消すから大丈夫です」
「それは、よかった(笑)」
「もし、3年前にこの資格があったら、やはり『言葉の地図』さんを削除したかったですか?」
「いえいえ、とんでもない! 私がここまでこれたのも、全て『言葉の地図』さんのおかけですよ!」
「例の事件は、『言葉の地図』さんが主催した辛口企画にあえて絡んだ、自作自演の炎上騒ぎという噂もありますが」
「それはないです(キッパリ)。ただ、『言葉の地図』さんの一言が引き金になったのは間違いありません」
「あの個人情報さらしてやる発言でしょうか?」
「いえ、その前の『辛口』コメントです」
「『辛口』コメント?」
「はい、『言葉の地図』さんに言われたんです。あと一歩、前に踏み出す勇気を持ちましょう。詩とは時代を切り開くものたちに勇気を与えるものです。臆病な詩など、ただの死んだ言葉の塊です。と」
「それは、なかなか厳しいですね」
「その言葉に叱咤されて、あの時、思い切って、自分自身で感じた、誹謗中傷された悔しさ、脅迫された怖さを、『詩』という形で発表しました。自作自演とか散々言われましたが、ここで自分がやめたら同じような目にあう人が、これからもたくさん出てくる。だから、たとえ私自身が潰れることになったとしても、勇気を持って、時代を切り開かなければならない、そう思いました。だから、私がここにいるのは、全て『言葉の地図』さんのおかげなのです」
「そうですか。さすが詩人ですね、言葉がうまい(笑)。ところで、『言葉の地図』さんは、斎藤さんの同級生だったとか」
「はい。皆様、はじめまして。ご挨拶が遅れましたが、この度、『ポエむら』の運営責任者に就任した斉藤美香です。本日、『ポエむら』は10週年を迎えることができました。これも、Potter5さんをはじめとするユーザーの皆様の投稿に支えられたおかげです」
「元同級生が、Potter5さんを脅迫した結果、今のPotter5さんの成功がある。斎藤さんとしては、複雑なお気持ちではないでしょうか?」
「そうですね。正直、まだ完全には消化できていません」
「『辛口企画』はもともと斎藤さんがアイデアを出したと聞いていますが?」
「はい、千鶴、じゃなくて『言葉の地図』さんは昔から、辛口で、人の悪口、じゃなくて、人の批評をするところがあったので、千鶴、じゃなくて『言葉の地図』さんにピッタリの企画だと思ったんです。しかし、ちょっとエスカレートしてしまい、友人としても責任を感じております」
「斎藤さんが煽られたという噂もありますが?」
「そんなことはしていません! こうなったのは、全て彼女の自己責任です」
「そうですか。では、皆様あらためて、『ポエむら』最大『いいポ』賞を受賞したPotter5さんに拍手をお願いします!」
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