SCP-008-N 『改変』
五月とのゲーム漁りが終わった翌日に、祝日だからとい理由で自室にこもってゲームばかりしていたら、春夏冬先輩と棚空先輩が「講習の時間だー!」とか言って部屋をピッキングして無理やり俺の部屋に入ってきた。
「餅屋くん! さっさとやるよ! 講習! さっさとやるよ!」
「わ、わかりました! わかりましたからゲームの電源切ろうとしないでください!」
普通に不法侵入で訴えれそうだが、俺がまだセーブ出来てないゲーム電源を切ろうとしてくる程必死だ。何が棚空先輩をそうさせたんだ…?……。まさか…。
「ごめんね~、餅屋く~ん。今日~、牡丹ちゃんは~、近所の子の家庭教師を~、やる予定だったんだけど~…ドタキャンしたらしくて~、だから餅屋くんの講習でも代わりにしたら~?って言ったら~、こうなっちゃった~!」
「やっぱあんたのせいか! しかもこうなっちゃった~じゃないですよ! じ、人権蹂だ、上告s」
「「降格」」
「アッ、すいません」
先輩二人からの降格圧力がかかったりして、折角の楽しいゲーム時間が潰れてしまった。しかし裁判に置ける高裁から最高裁に移行する際に出来る上告も出来ないので、すごすごと講習室に行くことにした。まあ、上告って訴えられてからじゃないと使えないし。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「それじゃあ、今日の講習を始めようか。」
「それで、今日は何のSCPオブジェクトを解説するんですか?」
「んー、今日はSCPじゃないんだよね。…餅屋くんってさ、現実改変をちゃんと理解してる?ちゃんと説明出来る?」
現実改変か…。確かに、ちゃんと考えたことは無かったな。普通に、現実を改変じゃ駄目なのだろうか?
「ええ、まあ。現実の改変、みたいなものですよね?」
「うーん…100点中10点!」
「ひっく!」
思わず大声を出してしまった。どうやら現実を改変じゃ駄目らしい。それもそうか。
「ま、それでも合ってるっちゃ合ってるんだけどね…後、これは一番最初にやるべきだったね。反省反省。それで、現実改変は『現実性』の『押しつけ』って言ったほうが良いよ。まあ、これだけでも50点ぐらいだけど。とりあえず、その50点分を解説するよ。」
確かに、これは先輩の言う通りだ。あのイナゴより最初にやるべきだったし、しかも
全然反省してない。とりあえず、いつも通り礼をしておく。
「はい、よろしくお願いします。」
「はいよろしく。まず、現実性の強さがあるんだけど、その単位は『Hm』って書いて『ヒューム』って呼ぶんだ。そのHmの普通の状態は1なんだけど、偶に1を上回る人が出てくるんだ。その人達は自分のHm値が他人より高い。更に性質が悪いことに、周りの現実性を強制的に『低くする』ことも同時に出来る。そうすると、他の人は現実性が低いのに自分は高い。じゃあ何が起きるかっていうと、自分の現実性を相手に『押し付ける』ことができるんだ。財団は、その人たちをまとめて『現実改変者』って言うんだ。ここまでが50点分だね。…大丈夫?ちゃんと理解できてる?」
長々と話されたが、一応理解できた。つまり、自分よりランクが上な奴らが、自分より下な奴らを強制的に潰せるという事か。
「はい、大丈夫です。」
「それなら大丈夫。そこで、もう40点分だ。現実改変が1より高い人達がやれるのは分かった。でも、まだ分からないこともあるんだ。1より高い人達がいるなら、1より低い『人』や『場所』もあるんじゃないか?ってね。結論から言ってしまうと、もちろんあったんだ。そこで、『条件』は1より高いってことだけじゃないんじゃないか? と思った財団は、もう1つ『条件』を発見した。現実改変自体は『変えたいモノのヒューム値が、変えようとする側のヒューム値より大幅に下回っている』という条件さえ満たせば一般人でも使える、ってね。」
「はあ~…そう言う事だったんですか…。あれ?今のが40点分ってことは、もう10点
分はどこに行ったんですか?」
「もう10点分は…まあ結局のところ、現実改変者って言うのは『なんでもアリ』な存在なんだよね。どれだけ特別収容プロトコルを書いても、どれだけ人員を消費しても、どれだけ予算を出しても。じゃあどうやってそれを阻止するかって話なんだけど。……財団は、そんな現実改変者を『殺す』ことに決めたんだ」
「え、殺しちゃうんですか? そんな…ああでも、そうしないと『なんでもアリ』状態が増え続けるからですか…。あれ?でも、そんな人達がこっそり生きてたらどうするんですか? 財団とかいう迷惑集団の大事なものを消してやる、とかなりませんか?」
「そこは大丈夫!財団には秘密兵器があるんだ!その名も『スクラントン現実錨』!これは、Hm値を一定の値に保ち続ける事が出来るんだ! ……まあ、それがどうやって出来たのかって言うのはまたいつか、話せる機会が来ると思う。あれは、一人の財団職員による、とても長く、とても素晴らしく、…とても残酷な物だった。」
とても残酷だった、とはどういう意味だろうか……? まあ、聞く限りでは、スクラントン現実錨は凄い装置らしいし、多大な犠牲が払われたのだろう。
「さて!これで現実改変の話は終わりだね。あー疲れた!」
「ええ、そうですね。それでは…」
そうやって俺が帰宅支度を整えていたら、棚空先輩が腕をガシっと掴んできた。…
まさか。
「現実改変の話は終わった。けど、まだSCPは解説してないよね?」
「ですよねぇ~…。」
どうやら、まだ続くみたいだ。祝日なのにな…。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
あとがき
現実改変自体は意外と分からない人もいるかも知れない、と思い急きょ作りました。しかし、SCP解説を入れたら4000文字ぐらいになるのでまさかの後編突入。
しかも、明日のテストは現代文、化学、物理という五平絶対殺すマンばっかりですが、これを投稿したら早速取り掛かります。…やっぱマリオメー〇ー2やりたい。
あと、なろうにも同時投稿してます。そちらもよろしくお願いします。
こっそりSCP
『被告人の左心房は、原告の保持する循環器系臓器との同一性保持権を侵害しており、その存在が原告の生存権を脅かしていることは明白であります。(中略)以上のことを踏まえ、被告人の保持する違法箇所を即刻没収ののち、然るべき判決を下すものとします。』
SCP-062-JP『生存権』
http://ja.scp-wiki.net/scp-062-jp
By ZeroWinchester
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