第31話 赤い花の毒
その時、ナギを突然目眩が襲う…
「ううっ…」
優也のすぐ側にナギは倒れてしまった…
「ナギさん!!」
「姉ちゃん…!!」駆け寄るムラサメ…
「どうしたんや!もう恋煩いは治った筈やで!姉ちゃんの想い人はここにおるやんか!」
優也はナギの玉のような汗を見て…「ひょっとして…これは…医者を呼んだ方がいい!なるべく早く…!」そう叫んだ。
「分かった…!すまんけどな、あんた…姉ちゃんの様子を見といたってんか!」
ムラサメは指を鳴らして優也の手足を縛っているローブを解いた…
「ティナちゃんの旦那さんとは言っても所詮は人間…逃げて帰るやろなあ…」
魔法でソーディアに帰って再び森へ自国の医者を連れて来たムラサメはその光景に驚いた…
優也はそこにいて必死にナギの看病をしていた…
自分のローブを床に敷いてナギを寝かせて、Tシャツの袖を破って近くの泉か川に浸してナギの頭を冷やしてもう一方の袖で一生懸命に汗を拭いていた…
「お医者はん!姉ちゃんを診たってくれへんか?」
医者は治癒魔法を試すがナギには効いていない…
「これは…多分…毒にやられてますね…」
「毒?」
「姫は花粉を吸い込まれませんでしたか?」
「花粉…ナギさんはワルキューレの花を摘んでいましたが…」
「ワルキューレ…ジュエラに自生するあの白い花ですよね…調べてみましょう。」
医者はそう言うと魔法で植物辞典を出した…「ワルキューレ…いや、花粉に毒は無さそうですが…」
優也はナギの言葉を思い出した…
「何万本に一本…赤い花が咲くのです…」
「赤い花だ!ワルキューレには赤い花があるはず…それはどうですか?」
「ちょっと待ってください…ありました!赤い花は強い神経性の毒を持っています…そのまま放置したら命に関わると…」
「なんやて…ほな、どないせえっちゅうねん!」
「動けば毒がますます全身に回ります。この場から動かさず薬草で毒を中和させるしか…」
「薬草…それはどんな…」
「岩肌にしか生えないというスクリュードという薬草です…ああっ!!」
「何や…⁉︎どうしたんや!!」
「この薬草はそこら辺に生えているという訳ではなく、希少種です。」と言って医者は肩を落とした。
ショックを受けるムラサメ…
「どうする事もでけへんのか…」
「何を言ってるんだ!!馬鹿野郎!!」
優也はムラサメを拳で殴りつけた…
「お、お前…何しやがんねん!」
「お前が諦めてどうするんだ!
大切な大切な姉さんだろう…⁉︎
先ずはみんなの力を借りて薬草を探す事が先じゃないのか?俺もティナやみんなに訳を話して探してもらうからお前も…」
「そうやな…分かった!国のみんなを連れて来るわ!」
ナギを医者に任せてムラサメはソーディアへ…
優也もまたジュエラ王宮へ走った…
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