チートなんて簡単にあげないんだから
まきノ助
第1章 アストリア王国に転生
第1話 リボーン
「少しぐらい人助けして代わりに逝っても、チートなんてあげません!」
高校生ぐらいに見える可愛い女の子にそう言われました。
「可愛いぃっ! チートなんていらないからメアドを教えて下さい!」
17歳で女子高生の私は、彼女に友達申請しました。
「……メ・ア・ド!?」
「ラインでも良いですっ!」
「ラ・イ・ン?……」
「SNSなら何でも良いですっ!」
「S・N・S?……」
彼女はポカ~ンと首を傾げている。
「私は貴方が居た世界とは、違う世界を管理してるので、それが何だか知らないのだけど?」
「ぇえええっ! スマホ持ってないのぉ?」
「スマホ? なにそれ、
「わぁ、惜しぃっ! そこは 『スマホ? なにそれ、
「はぁあっ? 意味が分かりませんけど!」
「わぁ、又、惜しぃっ! そこは 『ちょっと言ってる意味が分からない!』 って言うのっ!」
「ふぅ……世界が違うと習慣が違うのね」
「
「友達に……、貴方は交通事故で、幼児の身代わりに成ってここに来たのよ。私は貴方達が言う所の神様の使いなの。貴方はこれから、私が管理してる異世界に生まれ変わるのよ」
「異世界転生、来たぁぁっ!」
「貴方が異世界に行くのよ。……はぁ、もういいわ。サッサと転生しちゃいなさいね!」
「ちょっと待ったぁぁっ!」
「はぁっ、なぁに?」
「友達に成って下さるんですよね!」
「はいはい、それぐらいだったらいいわよ、友達に成ってあげましょう」
「だったらぁ、マブダチでも良いですかぁ?」
「マブダチ? な~にそれ?」
「友達のバージョンアップ版です」
「ふぅぅん、まぁそのぐらい良いけどぅ。でも又、貴方が逝くまで会えないと思うけど、それでもいいの?」
「結構です、私の
「そんな事でいいなら、してあげましょうか」
「あと、私が女神様のマブダチとして
「分かったは、応援してて上げましょう」
「美しく優しい女神様ありがとうございます。また会える日を楽しみにしています」
「はいはいっ。今度会うのは、貴方が又逝った時ですけどね」
「それじゃあ、行ってきまぁぁすっ!」
「行ってらっしゃぁぁい……やっと行ってくれたわ……」
「ホギャ~、ホギャ~、ホギャ~、……」
まさか! 赤ちゃんからですかっ!
「レオポルド辺境伯様、元気なお嬢様ですよ」
「そうか、男じゃ無かったか。……一応ステータスも確認してくれ」
「
「普通のステータスですが、始めて見る特記事項が一つだけあります……」
「何だ?」
「『女神の御親友』です」
「……ぅぐっうぅぅ!」
バタンッ!
辺境伯はショックで気絶してしまいました。
レオポルド辺境伯は
領民に重税をかけ、隙あらば境界を越え他領を侵略します。
自分の欲望にしたがい、状況に応じて臨機応変に国を替えます。
そんな破天荒な領主の初子が『女神の御親友』だったのでした。
「神など
そう豪語していました。
「ふ~っ、何て事だ!」
レオポルド辺境伯は娘の顔を覗き込みました。
「母親似だな、キレイな顔をしている。俺の悪行を受け継がなかったのだな……」
(お父さんなのかなぁ?
「名前は何と付けられますか?」
「ふんっ、後を継がぬ娘の名など何でもよいわ、妻に任せる」
「はい」
産後の母のベッドに、産湯を使ってサッパリした赤ちゃんが連れて来られました。
「貴方の名前は『マリエル』にしましょう」
「アウアウ」(マリエル)
「大人しい子ね、言ってる事が分かってるのかしら」
「アウアウ」(そうそう)
「お腹空いてる?」
「ダァダァ」(ないない)
「オシメは大丈夫?」
「ダァダァ」(ないない)
「ママの事好き?」
「アウアウ」(スキスキ)
(ママンは凄い美人だわ、胸もDカップ以上あるわね)
マリエルは母乳を一生懸命吸いながら、ママンの顔を見続けます。
後で知ったのだけど、元々ここの領主の娘だったのを、パパンが侵略して全てを略奪したらしいの。
「ママンは女の子が産まれて嬉しいわ、戦争とか侵略とか関係無いもの。マリエルが嫁ぐ時は一緒に連れてってね」
「アウアウ」(うんうん)
ママンのお乳を頂いた後で、女官にオシメを取り替えられて、結構豪華なベビーベッドに寝かし付けられました。
「
ママンはそう主張してたそうです。
「胸が萎むと旦那様のご寵愛を
女官長がそう言うのをママンは聞きませんでした。
「かまいません。この子に愛情を注ぎたいのです」
(ママン、ありがとう!)
私は早速女神様に呟きました。
「女神様、私の名前はマリエルになりました。これからはマリエルとお呼びください、よろしくお願いします。
それと、女神様の名前を聞いてませんでした、教えて下さい。
あと、ステータスの事ですけど、本当に普通なんですね。ちょっとガッカリしました。
生活魔法ぐらい覚えてると思いました。
普通に平均的な魔法は使えると嬉しいです。
それでは、今日はもう寝ますね。赤ちゃんだからなのか、すごく眠いのです。おやすみなさい。
「マリエルちゃん、お誕生おめでとう。普通に健康に産まれて良かったね。
ただ母親が規格外に美人さんなので、外見は普通以上になると思うよ、ラッキーだね。それは、友達に成る前に決まってたのだけどね。
それと私の名前は、『エイル』です。エイルちゃんと呼んでも良いですよ。マリエルちゃんだけの友達特典です、一般人には許してませんからね。
そして、生活魔法ですけど5歳に成ったら使えますよ。赤ちゃんが『着火』魔法を使ったら、火事に成っても消せないでしょう。
人間の赤ちゃんは魔法が使えない仕様に、異世界全土で統一されてます。
ちょっと変わった家庭に生まれましたけど、見守ってますので安心しておやすみなさい。
【後書き】
北欧神話に出てくるエイルは、「援助」や「慈悲」の女神で、「最良の医者」でもある。
彼女は全ての治療に精通しているが、特に薬草に詳しく、死者を復活させることもできたという。
医師の女神として、特に医療従事者に
彼女は、肉体的な治療だけではなく、精神、感情、霊的な治療も行っていたとされる。
彼女は、訪ね求めてきた全ての患者に治療を施すが、秘術を授けるのは女性だけである。
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