Dear sweet sweet My honey. From
こんにちは、お久しぶりです。
と言ってもあなたは私を知らないかもしれません。いえ、知らないでしょう。
ああ、お気になさらず。当然のことです。私たちは会ったことが無いのですから。
じゃあなぜ私があなたを知っているのかって? それも至極当然のことですよ。
そうですね。せっかくですから、少し昔話をさせてください。
私は遠く、北国で産まれました。両親がいて、兄がいました。
そのうちに家族が増えたり減ったりして、ひと様には話しづらい家庭環境になりました。
小学校も中学校も、水が合わずにつらい思いをしたことが何度もありました。
けれど、高校に入ってからかけがえのない親友ができました。その子とは今も仲良しです。
社会に出てからももちろん、楽しいことばかりではありませんでした。
だけど「物を書く」ことを知って、幸せを感じられる日々に出逢えました。あの時お世話になった方々には、今でも感謝しています。
大切な人も見つかりましたよ。柔らかくてあたたかい、陽だまりのような人です。
あなたももう少ししたら、出逢えるはずです。
何の話かわからない? そうでしょう、そうでしょうとも。
私はいま、二〇九九年からこの文章を送っています。
まさか、と思うでしょう? 私もです。科学の進歩には本当に驚かされますね。
ちょうどそちらでは『人生百年時代』なんて言われ始めたころでしょうか。
そしてそれを聞いた私は、ひどく落胆しました。この苦しい時代を、この厳しい人生を、あと八十年以上も生きるのかと。
自らの手で終わらせてしまおうと考えたことも、一度や二度ではありませんでした。
けれど、そうしなくて本当に良かった。私が生きていてくれて、本当に良かった。
人生はいつ終わるかわからないけれど、だからこそ無理に終わらせる必要はありません。幸福な時間は必ず来ますから。
最期に笑っていられるように、私はこれまでを生きて、いまを生きています。
長くなってしまいました。そろそろ言いたいことをまとめましょう。
産まれてきてくれてありがとう。困難を乗り越えてくれてありがとう。その先を生きてくれてありがとう。
生きていてくれて、ありがとう。
私はいま、あなたのおかげでとても幸せです。
お誕生日おめでとう。
幸せな一年になります。あなたの思うように、生きてくださいね。
二〇十九年の私へ。
二〇九九年の私より。
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