天然の硫黄の匂いはやっぱり腐った卵
BGMは、童謡「なべなべそこぬけ」です。
次の日、まだ暗いのに人の声がするなーと思てテントを出てみると沢山の人が野菜を運んでました。青果市場やもんね、当たり前かぁ。
ほんで邪魔になるしと思てテントを片付け、休憩コーナーみたいな所の軒下で携帯コンロでお湯を沸かしてラーメンを作ってると、当時はそんな道具類が珍しかったのか、農家のおばあちゃんやおじいちゃんが集まって来て、散々説明をさせられます。まぁ、地元の方との交流やし楽しかったんやけどね。ただ、方言が分かりづらい(泣)。
京都から来たとか、大学生やとか、昨日は軒下にテントを張って寝たとか話してると、おばあちゃんが
「これを持って行きなさい」
と採れたての野菜を分けてくれました。包丁を出すとおばあちゃんが切ってくれて、ラーメンの鍋に入れてくれました。それからが大変です。次から次からおじいちゃん、おばあちゃんが野菜を持ってきてくれて、終いにはラーメンが野菜鍋になってしまいましたね。
それに朝採ってきた卵も頂いて、生卵に野菜を絡めて食べました。めっちゃ美味しかったんやけど、全部食べるのに小一時間程かかりましたは。善意は無駄に出来んと、無理して食べたらお腹が破裂しそうでした。
そうしてる間に、雨も風も収まり、太陽が出てきたんで片付けて再びバイクを走らせました。
国道105号線を北上し、田沢湖へ。これは大きなカルデラ湖ですね。隕石によるクレーターって説もあるらしいですが……。
たつこ像を拝見してから、湖の北西に佇む秋田駒ヶ岳へ。5合目ぐらいまでバイクで登れましたね。そこから歩いて登りました。しかし、また雨が降ってきます。
登って直ぐに、異様な硫黄の匂いが。登山道のすぐそばからガスが吹き出てて、天然の硫黄が溜まってました。
「やっぱり腐った卵」
の匂いでしたね。プンプン!
山頂に着く頃には雨も小雨になりました。ほぼ、霧雨状態。
雲が流れてて、幻想的な景色です。それに感動して数年後、2回目、3回目と秋田駒ヶ岳に登ってしまいましたね。
生憎の天気でしたので、登山客は私一人。思う存分、大自然を堪能しましたが……。
暗くなりかけた頃、ふと怖くなって来て、急いで下山しました。オバケが出そうな雰囲気というか、妄想してしまいました。でもそのオバケは、何故かナマハゲの顔だったんですね。秋田だからかな?
そしてまた「腐った卵」の匂いの中を進み、5合目の駐車場へ戻りました。
「ああー、良かった」
もちろん誰もいませんでしたが、バイクと避難小屋があったんでホッとしましたよ。
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