峠でバトル!

 BGMはアニメ「頭文字D」より。

 (https://www.youtube.com/watch?v=di_eqTjLhOM)


 お腹もいっぱいになった頃、同じ様にバイクでツーリングをしてる人たちが駅前に集まりだします。


「バイクで旅をしてる」


 と言うだけで連帯感が生まれ、気軽に挨拶を交わます。そしてバイクの話や旅の話で盛り上がります。その時は、5人ほどで日付が変わっても話してましたね。


 その後、片付けをして再びバイクに乗り、今夜の寝床を探して国道18号線(今は旧道)を東へ走ります。


 ほんで、碓氷うすい峠を越えてダウンヒルを快適に走ってったら、地元の走り屋さん(峠道などのグニャグニャ道をスピードを出して走ることが好きな人達=ローリング族)が、私を後ろから煽ってきました。


 私は、大きな登山用リュックを背負ってるし、


「お先にどーぞ!」


 ってな感じでスピードを落としたんですが、レース用の部品を取り付けてたし、当時最新のバイクの他府県ナンバーやったからか、それでもしつこく煽られてしまいます。


 ほんで……、


 若かった私は頭にきて、


「お前ら、憶えとけー。サーキットの走りを見せたるわぁー」


 と、ギアを2速、コンコンって落として一気に加速します。それを見て地元の走り屋さん達も追っかけてきます。急遽4台のバイクで競争が始まりました。


 カーブのガードレールの外側にはたくさんのギャラリーの人たちがいて、


「あっ、あいつ。荷物背負ってバトってんじゃん!」


 なんて声も聞こえてきました。めっちゃ笑ろてしまいましたわ。


 コースが分かりにくかったので地元の走り屋さんに先行させ、私はその後ろをピッタリとくっついて走ります。どれくらいくっついて走ってたかと言うと、隣のバイクのブレーキを握れるくらいの距離です。てへへっ。


 ほんでも、なんぼ走り屋さんが頑張っても所詮は走り屋さん。サーキットで250キロのスピードで走ってる私に敵うはずもありません。適当な直線で横へ並び、ブレーキングの我慢比べで2台抜き、もう1台はヘアピンカーブで外から抜いて差し上げました。


 あまりにも簡単に、まぁそんなに苦労もせずに追い越せました。


「あれ! 荷物背負ってるし、手加減してくれたんかなぁ」


 負けたんやから、あっさり引き下がってくれたらええのに、それからも街へ出るまでしつこく追ってきます。そやから麓へ下りても少しバトってましたね。信号が点滅やったんで、止まった時に拉致されたり殴られたりはしませんでしたけど、群馬県の高崎市付近まで追ってきたんと違ごたかなぁ。えらい迷惑でしたわ。

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