25 作戦会議
作戦会議
……ただいま。……おかえりなさい。
四日目になっても、状況はなにも変わらなかった。
久美子の熱は下がって(でも、用心のために久美子はまだ保健室で一人で寝ていた)それは良かったのだけど、道草先生やさゆりちゃん。信くんの話によると今日も自習であり、学校の中にいるように、と言う一日目(闇闇を見る)、二日目(長いトンネルの存在を知る)、三日目(久美子が熱を出す)とほとんど同じ日々が四日目の今日も続いていた。
ただ今日は朝からずっと雨が降っていた。
……これではきっと明日も、そしてその次の日も、学校の中にお泊りと言うことになるのだろう。
この異様な状況に、さゆりちゃんはかなり早い段階で気がついていたようだし、基本的にお気楽な信くんも、どこかのタイミングでやはり、この世界はおかしいと気がついてるようだった。
なので久美子たち三人は保健室(久美子が風邪の治りかけでまだ動けないから)に三人集まって『御影小学校六年一組の三人で、緊急の作戦会議』をすることになった。
そこで三人はそれぞれの状況の確認や情報の整理、そしてそれぞれの思いを口にした。
「たぶん、勝負は一週間以内に決まると思う」
その情報共有の話のあとで、さゆりちゃんは久美子のベットの横の椅子の上からそう言った。
「一週間がタイムリミットってことか。その根拠は?」
信くんがそういうとさゆりちゃんは一冊のノートを出した。(さゆりちゃんの探偵ノートだ)そのノートにはさゆりちゃんの調べた情報が集められており、その情報の中にこういった一文があった。
『〇〇県御影町が、大規模な御影川の氾濫によって、飲まれて崩壊。町の住人たちはそのほど全員が死亡した』
その文字を見て、久美子と信くんはぎょっとした。
「……この文章なんだよ?」
信くんは言う。
「昔々の新聞記事の抜き出し。この事故があったのが、だいたい百年くらい前」さゆりちゃんは言う。
「百年前に一度、この町は川の氾濫で崩壊しているってことか」
「うん」
さゆりちゃんはうなずく。
「それで、まあ、それはよく調べたもんだ、とは思うけどさ、それとさっきの一週間とどう関係があるんだよ」
「それは……」
さゆりちゃんと信くんはそんな感じでどんどんと推理を進めていく。久美子はそんな二人の様子をすごく頼もしいな、と思いながら興味深そうな顔をして、聞いていた。
「結論からいうと、私は久美子ちゃんが見た闇闇の正体は、『この事故でなくなった百年前の御影町の人たちの亡霊』だと思ってる」と久美子を見てさゆりちゃんは言った。
「え?」突然、自分に話を振られて久美子はすごく驚いた声を出す。
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