第24話 旧暦忍者2 忍者が現れる!?
「ここはどこだ!?」
忍者の睦月は、2020年の日本に、忍法で時空を超えてやって来た。
「城はどこだ!? 田んぼもない!? お団子屋もないぞ!?」
睦月は周囲を見渡すが、江戸時代の日本とは、全く違う景色に驚き戸惑った。
「ちなみに私は、どこにいるでござるか?」
睦月が未来に現れた場所は、皇居である。睦月の旧暦家は、徳川幕府に仕えた、由緒正しき忍者の一族だからである。江戸城の周辺に住み、江戸城の周辺で忍法を使い、次元を超えたからである。
「悩んでいる場合じゃない! 私は! 108匹の妖怪を退治せねばならないのだ!」
睦月は、燃えていた。自分の性で逃げられてしまった妖怪たちを捕まえなければいけないのだ。
「オオー! ジャパニーズ・ニンジャ!」
2020年の皇居に現れた睦月は、忍者のコスプレをした女でしかない。あっという間に、観光客の外国人に囲まれて、写真撮影会が始まった。
「え? ええー!? ペリーが多重影分身している!?」
睦月には、外国人は全て、ペリーに見えるのである。
「な、なんだ!? おまえたちは何をしている!? なんだ!? その道具は!?」
観光客の外国人たちは、睦月にカメラやスマートフォンのレンズを向けて、日本で忍者にであった記念に、フレンドリーに写真を撮影している。
「わかった!? それは西洋の呪いの道具であるな!? これでも私は、由緒正しき忍者の一族、旧暦家の一人娘!? こんなところで捕まる訳にはいかないでござる!? 忍法! 煙玉!」
睦月は、どこからか煙玉を出し、地面に投げつける。
「ゴホゴホ!?」
周囲は、煙に包まれて観光客の外国人は煙が目に沁みたり、咳き込んだりしている。
「オオー!? ニンジャガイナイ!?」
煙が晴れると、睦月の姿はなかった。
「どうだ! 参ったか! これが日本の忍者の実力だ!」
観光客の外国人の後ろに現れる睦月。
「オオー! ベリー! ワンダフル!」
「グレート! グッジョブ!」
「ユーチューブニトウコウシナクッチャ!」
外国人たちは、日本の忍者ショーが皇居観光で見ることができて、とても喜んでいる。
「なにか喜ばれているような?」
状況を理解していないのは、睦月だけであった。
「さらばだ! 忍法! 全力逃走!」
睦月は、観光客の外国人に別れを告げて走って去って行った。
「グッバイ!」
「シー・ユー!」
「ナイス・ショータイム! サンキュー!」
外国人の観光客は、過去から来た本物の忍者の忍法を見たとも知らずに、また日本に旅行に来たいと、日本観光にご満悦だった。
「未来の日本は、ペリーに侵略されていたのか!?」
事態を深刻に捉える睦月。
「あのどうして、そんな姿で走られているんですか?」
「え? 忍者だから忍者装束を着ているのですが。」
「ああー! 忍者が好きなんですね! 以上、色々な皇居ランナーの方にインタビューしました!」
睦月は、ニンジャ姿で皇居を走っているので、皇居ランナーと間違えられる。
「いったい日本はどうなってしまったのだ!?」
2020年の日本は、睦月のいた江戸時代とは大きく変わってしまっていた。
「危ない!?」
その時、考え事をしながら道路を歩いていた睦月に、自動車が突進する。
「ギャア!?」
睦月は、車に引かれて吹き飛ばされてしまう。周囲にいた人々の悲鳴が大都会に響く。
「大丈夫ですか!?」
車のドライバーや、人々が倒れている睦月に駆けつける。
「これは!? 案山子!?」
しかし地面に倒れていたのは、睦月の忍者装束を着た案山子であった。
「忍法! 変わり身の術! あれは普通の人間ではないか!? そうか! きっと妖怪の幻術に操られていたに違いない!? 罪の無い人々に私を殺させようとは、敵は、なんと恐ろしい妖怪なんだ!?」
睦月は、人々の味方である。
「それにしても、さっきのシャカシャカする兵器に、今の猛突進する兵器。私の命を狙う妖怪が作り出した兵器に違いない!? どの兵器も西洋文化の臭いがする!? まさか!? 妖怪の親玉は、ペリーなのか!? ペリーが妖怪だったとすれば、強力な大砲を持っていても不思議ではない!」
睦月は、気づいてしまった。108匹の妖怪のラスボスは、黒船で日本に来航したペリーだと。
「そうと分かれば、こうしてはおられん! 代々、徳川将軍家にお仕えする由緒正しき忍者の一族、旧暦家の一人娘の名において、殿を助け、日本を開放しなければならない!」
睦月は、新たに決意を固める。
「まずは、他の人々が犠牲にならないように、あのイノシシの様に突進する兵器を破壊せねば! くらえ! 忍法! 火薬玉!」
これでも睦月は、旧暦家の一人娘で優秀な忍者なので忍術は上位忍法を使える。
「ギャア!? 車が爆発した!?」
睦月の忍術で、自動車が大爆発を起こし、黒煙をあげている。
「妖怪1匹、退治したり! 私の実力は、どんなもんだい! さあ、もう少し、未来の日本のことを調べに行こう。ニンニン。」
得意げに笑いを浮かべる睦月であった。
「次のニュースです。今日の午後、東京都の皇居周辺で自動車が爆発する事故がありました。ドライバーの話では、急に自動車が爆発したとのことです。警察は、事故か、テロリストの犯行だとみて、捜査を続けています。」
睦月の行動は、日本社会では大事件であった。
「いや~、汗をかいた後の銭湯は気持ちいいな~。」
睦月は、皇居ランナー行きつけの近所の銭湯を満喫していた。ただのサービスカットでもある。
「早く、ペリーを倒すでござる。ニンニン。」
睦月のペリーと、いや、108匹の妖怪との戦いは、これからである。
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。