第2話

俺とほね太郎は一頻りじゃれ合うと召喚したほね太郎のステータスを確認する事にした。


ほね太郎【スケルトンナイト】 Lv1 (隷従者 アキ)


Str: 5

 Vit: 2

 Dex: 4

 Int: 2

 Mnd: 3

 Agi: 4

 Luk: 0


モンスタースキル


死霊剣術Lv1


装備


右腕:亡国の剣【破損】

左腕:亡国の盾【破損】


頭:Nodata

胴:Nodata

腕:Nodata

腰:Nodata

靴:Nodata


アクセ


指輪:Nodata


首飾:Nodata



死霊剣術

今は亡き国の剣術、虚ろな記憶にこびり付いていた記憶の欠片。

剣を扱うことが可能


亡国の剣【破損】【Rarity:コモン】


今は亡き国の剣。破損している為ダメージが6割減


亡国の盾【破損】【Rarity:コモン】


今は亡き国の盾。破損している為盾ガード時のダメージカット率6割減



おおっ、かっこいいなこの設定、それとほね太郎はナイトだったのか!!


ほね太郎のステータスを見て興奮していると俺の横をサツキというプレイヤーネームのキャラが通り過ぎていった。


サツキ……剣士って事は美沙希か!!


「おーーい、みさっ、サツキ〜」

「えっ?あの、どちら様ですか?」

「俺俺、宏幸だ」

「嘘?!」


両手を口の前に持っていき目を見開いて驚いているサツキに苦笑いを浮かべると、設定からこの街に放り出されるまでの経緯を話す事にした。


「あ〜、ごめんね?」

「別に気にしないさ、お陰でおっちゃんからネクロマンサーのスクロール貰えたからな」

「スクロール?」


スクロールと言うワードに首を傾げるサツキに俺は親指でほね太郎を指さす。


「スケルトン?何で?!」

「街にいる褐色ツルツルおっちゃんから貰ったんだ」

「何それ!!私も行ってくる!!」

「お、おぅ……嵐の様なやつだな」


かなり興奮した様子で街へと突っ走って行ったサツキを見送るとほね太郎を連れて敵MOBを探しに森の中を歩き出す。


「ほね太郎、君には攻撃を頼むよ。俺は攻撃力皆無だからね」

「カラッ!!」


俺の元気を込めた一言にほね太郎はこれまた元気よく返事をする。

そしてその時、森の中の茂みから額から一本の角が生えたウサギが出てきた。


「おっ、可愛いな」


初めて見る動物にみとれていると、ほね太郎が後ろからカラカラと骨を鳴らしながら剣と盾を取り出し戦闘態勢に入った。


「ん、まさかこれ敵MOB?!」

「キュイィィイイ!!」

「おわぁっ?!」


エンカウントから間髪入れず突進してきたウサギを装備していた大盾で弾き飛ばす。


「ふっ、ぅう……危ないとこだっ……」


━━ザシュッ


「カラカラッ!!」


ウサギを弾き飛ばし一安心していると後ろから肉に剣を突き立てる音と嬉しそうな骨を鳴らす音が聞こえる。


「キュゥウゥウウ!!」

「うへぇっ!?」


そこにはリアルに血を流すウサギとそれに剣を突き立て嬉しそうにしているほね太郎が写った。


「なんでポリゴンじゃねぇんだぁ……」


突然のスプラッタに若干泣きそうになりつつ自らの盾でウサギに体当たりをかます。


━━のだがゴリュッという無駄にリアルな感触にもう泣き出した。


「なんで妙にリアルなんだよぉぉ……」


余りのTPOのリアルな感覚設定に悪態つくとその間にほね太郎がウサギを殺し、ウサギが徐々に霧散していき皮と肉が残った。


「気持ち悪ぅ……」


出てきた素材を親指と人差し指でつまみ上げるとアイテムボックスである腰のポーチへと投げ込む。


「よ、よし……もう少し我慢して狩ろうか……ほね太郎…………」

「カラッカラッ!!」


楽しそうに骨を鳴らすほね太郎に少しだけ癒されつつ再度敵を探しに森を歩く。



~~~



「うぅ、ぐすっ……」


俺は流石の気持ち悪さにダラダラと涙を零しながらウサギにトドメを指すために盾を振るっていた。


-5されてStrが0ではあるが少量のダメージはウサギに入っているらしく先程一度だけトドメを指す事が出来た。


「れ、レベル上がってるかなぁ…………上がって……るよね?」


アキ Lv2

種族 ヒューマン

メインスキル


ガーディアンLv1


Str: 2(-5)

 Vit: 4

 Dex: 1

 Int: 1

 Mnd: 2

 Agi: 1

 Luk: 3(-5)

 SP: 5


サブスキル


ネクロマンサーLv2


パッシブスキル


Nodata


装備


右腕:Nodata

左腕:初級守護者の大盾


頭:Nodata

胴:新参者の革鎧

腕:Nodata

腰:新参者の革ズボン

靴:新参者の革靴


アクセ


指輪:死霊王の灯火


首飾:Nodata


やった、ガーディアン以外一ずつ上がってる。


嬉しそうに見えない?まさか、ただ先程までのスプラッタのせいで少し感情が表に出て来てないだけですよ。


「カラカラカラッ!!」

「ん、どうした……ってなんだこれ」


ほね太郎の呼び声━骨の鳴る音だが━に応えそちらを向くと、そこにはThe宝箱があった。


「おお!!やっとファンタジーっぽい!!いや、ほね太郎も十分ファンタジーだけど」


突然現れた宝箱に俺のスプラッタで削れた心が数段癒え、元気が少しだけ戻ってきた。


「さてさてーなーにっかなー、オープン!!」


ルンルン気分で出てきた宝箱を開けるとギギィッという音を立てながら徐々に中身が見えて来る。


「なんだろなっなんだろなっ♪」

「カラカララッカラカララッ♪」


隣で俺の真似をするほね太郎超可愛い。


「ん?」

「カラリッ?」


宝箱が全開しそこから出てきたものにアキとほね太郎は同時に首を傾げ不思議そうにそれを見る。


これは……マリンキャップ?いや、それにしてはシルエットがおかしい…………あれだ、もしこれを命名するならうさ耳マリンキャップだ。


アキが手に取ったそれは白くて綺麗なうさ耳が生えた可愛らしいマリンキャップだった。


キャロットマリンキャップ 【Rarity:レア】

Agi+3 Luk+2

ウサギの耳が生えた可愛らしいマリンキャップ、一部のマニアには人気が高いだろう。


おお、初めの方に手に入るにしては良いんじゃないのか?

ただし、見た目を覗いて。

そしてフレーバーテキスト、変な解説を入れるんじゃない。


ドロップアイテムに一頻りツッコミを入れると少し恥ずかしい物のキャロットマリンキャップを装備する。


するとそれを見たほね太郎が肉の無い骨の手で拍手をしカランカランと手を慣らしてくる。


「に、似合ってるって事か?や、やめろよ、恥ずかしいだろ」


ほね太郎に何故か褒め倒され顔が熱くなるのを感じながら素材を集めるために歩みをさらに奥へと進める。

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