秋
愁い
またひとり。
またひとり。
誰かが堕ちてゆく。
誰にも止められない。
自然の摂理というものである。
寂しさを纏った黒髪の女は
憂いを帯びた目で
遠くの紅葉した山を望んでいた。
一枚、一枚、枯れ落ちてゆく
葉を見て彼女は深く息を吸い込んだ。
何事にも上手くいかず
自暴自棄に至ったおれを見て
皆はわらっているに違いない。
不潔に塗れたおれなんぞ
冬のさみしさで絶えるのがよい。
そう思い、深く寂れた空気を吐き出した。
随分と冷え込んだ宙に
星が一本流れた。
願う間もなくどこか遠くへ
行ってしまった。
気付くと秋は過ぎて
冬になっていたみたいだ。
小さな雪が宙いっぱいに広がっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます