愁い

またひとり。

またひとり。

誰かが堕ちてゆく。

誰にも止められない。

自然の摂理というものである。


寂しさを纏った黒髪の女は

憂いを帯びた目で

遠くの紅葉した山を望んでいた。

一枚、一枚、枯れ落ちてゆく

葉を見て彼女は深く息を吸い込んだ。


何事にも上手くいかず

自暴自棄に至ったおれを見て

皆はわらっているに違いない。

不潔に塗れたおれなんぞ

冬のさみしさで絶えるのがよい。

そう思い、深く寂れた空気を吐き出した。


随分と冷え込んだ宙に

星が一本流れた。

願う間もなくどこか遠くへ

行ってしまった。


気付くと秋は過ぎて

冬になっていたみたいだ。

小さな雪が宙いっぱいに広がっていた。

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