「昔日の星光」導入

 ……かえりたい。

 意識が浮上して、真っ先に思ったことがそれだった。旧世界の残り香は、在りし日の彼女を取り戻そうとしている。……彼女の力はそれに使えないようだった。しかし未だに彼女は身体から力を奪われている。それが何に使われているのかを確認することができないまま、意識がまた闇の中へ沈んでいった。


「ああ、我が太陽……まだ、会えぬのですね……」




 某日、群本部にて。自室の寝台に腰かけたまま、白星は目を開く。黄金よりも美しく輝く瞳が静かにどこかを見つめた。部屋の外で慌ただしく動き回る音を聞きながら、彼は床に白い足を伸ばし立ち上がる。そうしてそこからまたしばらく一方を見つめていたがやがて目を伏せて部屋の中に立っている配下へ顔を向けた。

 エウノイアは主たる少年がこちらを見たことに気が付くと顔を上げて彼を見る。


「……私は暫く出かける。エウノイア、きみはその間群の魔法陣を管理していてくれ。」

「……それは構わないが、どこへ?」


 突然そう言われれば、エウノイアは不思議そうな顔をしてそう尋ねた。さっさと出かける準備をしていた彼が杖を片手に振り向く。


「少し、子守に。」




 同日。滄劉沖に浮島が突如として姿を現した。海の竜たち……特に、幼い者たちがその島の周囲にいると怯えて錯乱するとのことで、速やかな解決が求められている。少年の部屋の外、群本部が慌ただしくなっていたのも国からの要請でその島の調査を依頼されたためだ。彼らは白星の書斎にて過去に似た事例がないかを探っていたが、しかし見つけることはできなかった。


 あなたたちはこれの原因究明及び解決をしなければならない。

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