第10話現象

見える、-過去に来るまでは鮮明に、


記憶を消すまでは、よく聞こえてたあの声、姿


もう一人の私ーーいや、それは背丈も身長も、確かに同じくらいだし


顔だって同じなのに――なぜだろう、声が聞こえない

いやーー聞いてはいけないような気がする


何かを思い出すような、でも思い出したくないような

それで私は、何とも言えない気分で起きる


ねぇ、気分はどお?おねえちゃあああああああんん

「うるさい、消えて」

「消えられないよだって私は幻像だから、ああ、幻覚と言い換えてもいいね


疲れた心が一時的に見せてる幻覚ーー決して憑依ではないよ、それだったら

お姉ちゃんの友人――みぞれ、だっけが感知してるよ」

ことばが、文字となり空間に浮き出てる

息遣いもしない

「おねえちゃあああああん、ねぇ、ねぇ、ねぇ、お姉ちゃんはね

覚悟しないといけないよ

ーーだって、初めてじゃないでしょ、過去ここに来たの


そしてここで、つかの間の休暇bakannsuを満喫して、未来で《あそこ》

で絶望して

もう1735回ーー救えないんなら、せめて覚悟を決めて


そうそう、もし仮に一つを救えたとしても、もう、お姉ちゃんは取り返しのつかないことを一回やっているーーだからねぇ、覚悟しなよ


令嬢おねえちゃん行動した責任を負う覚悟をさ――」

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