悲劇の花嫁
俺は何も 見ていない
彼女がどこを見ていて、何を考えていても 俺のことを愛してくれているのだから
疑いなど無い 無いはずだった
ああ でも 一欠けらでも彼女を疑ってしまった自分は……
いづれ砕け散り行く途方も無い愛 彼女は俺を愛しているのだ……
何も観ていない ぐるぐる 渦巻く胸中
どうして 彼女は微笑んでいるのだろうか
ぐわんぐわん 嘶く脳内 もしかして 俺を笑わせたいのか
途方も無い阿呆を指差して その先を知るのが怖い
ずっと微笑んでいて欲しいと 心に留めて置くのは 実は無礼者?
昨日見た 彼女は白いワンピースに包まれている
ひらりひらり 白の紋白蝶が舞う ああ 彼女ほど悲劇の似合う花嫁はいないな!
愛の結晶 指環を着けた左指は 砕け散ってしまったのだ
ああ、俺は何も見てなどいないよ それでも心中ではお幸せに
わらう己が憎らしい 観ていたのは、黄ばんだ時刻表だけ……
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