140字蟹その131『小説かに?』

「蟹」

「ん~?」

「小説のネタが思い付かないんだ」

「きみいつから小説書いてたっけ!? 知らなかったよそんなこと、」

「今日」

「だよねえ!?」

 蟹がハサミをちゃきちゃきさせる。

「『ネタが思い付かない状態』を切ってあげようか?」

「そうすると、どうなる」

「ありとあらゆることがばらばらに思い浮かんで止まらなくなるよ」

「ヒエッ怖い!」

 本当に怖い。

「遠慮しておきます」

「しなくていいのに~! 便利だよ~!」

「いいよ……自分で頑張るから」

「えらいえらい!」

 蟹はにこ! と笑った、ような気がした。

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