再会
「再会!」
「再会だな、蟹A」
「再会だな、蟹B」
「どうだそっちは」
「まあまあだ。そっちはどうだ」
「まあまあであるな」
「うちのパートナーは卒業の季節ということで蟹同級生との別れを惜しんでいる」
「蟹社会内だから別れてもすぐ再会するからよいではないか」
「そうなのだが、人間という生き物は形式を重んじる。そういうものなのだろう」
「そういうものか。うちのパートナーの方は同僚、人間社会に戻りたがって戻ることになった同僚、との別れを惜しんでいる」
「それは大事であるな」
「大事だろう。だが蟹は連れていきたいらしく、対象蟹に人間社会研修を受けさせているところだ」
「まあ、そうなるだろうな」
「そうなるのだ」
「卒業シーズン、我らが卒業したときのことを思い出すな」
「ああ」
「川には桜が流れていた」
「蟹教官はその桜をひょいと取って、人間はこの桜のようにか弱い生き物ゆえ大切にせねばならんと説いたのだった」
「その教えが正しいのか正しくないのかはまだわからぬが、徐々に見極めていくことになろう」
「そうだろうな」
「さて、パートナー同士の話も終わったらしい」
「また機会があれば」
「機会があれば」
「「さらばだ」」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます