ハートフル蟹氏エピソード5 ディナーのお誘い
「金曜の夜ですよ」
「だから何?」
「どうですかひとつディナーでも」
「何いきなり」
「おいしい店を見つけたんです、君にも食べてもらいたくて」
「はー…悪いけど今日は眠いから帰る、夜更かしできないタイプなんだよね」
「では明日の夜」
「マジで言ってる?」
「マジです」
「わかった」
◆
土曜日の夜。
「意外とおいしかった」
「意外とですか?」
「…おいしかった」
「ふふ」
蟹と私はレストランからの帰路についていた。律儀に家の前まで送ると言う蟹はてけてけと車道側を歩いている。
「星が見えてますね」
「新月手前だから」
「星、好きですか?」
「まあまあかな」
「僕は好きです」
「ふうん?」
「水の中から見る星と地上で見る星は違いますからね、そこが面白くて」
「…」
「今日は星が綺麗です」
「…そうだね」
歩く。虫の声。家に着くまで、蟹と私はぽつりぽつりと話をしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます