ハートフル蟹氏エピソード1~3
人生が退屈、そんな言葉見たくはなかった。こっちはそんな暇もない。退屈かよかったね一生やってろ。そう思いながらぱちぱちやっていると蟹が出て来て休憩しませんかと言った。一緒に缶コーヒーを飲んでいたらあれ書いたの僕なんですと言われて私ははああとよくわからぬ息を吐いた。
蟹とあちこち遊びに行っても海に出掛けたことはない。そのまま還ってしまうかもと思ったからだ。なのにその日の出張は海の見える町で、よせばいいのに私は蟹と砂浜を歩いて、だけど振り返っても蟹はまだ還らない。ねえと声をかけたら、僕の故郷は川なので。微笑む蟹に私はそう、と返した。
蟹の故郷は遠い。いつか一緒に行きましょうねと言う蟹を机の下に置き私は今日も仕事中。がんばれーがんばれーとハサミを振る蟹。ちょっと黙っててと言ってメールを一本書き終えて、構ってほしかったの? と聞くといやまあそういうわけでも? 私は蟹を抱き上げてコンビニでカニかまを買った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます