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 キャロルとレオンが自慢の調査用紙を携えて離宮の庭園に付くとフワリー嬢が腰に手を当てて待っていた。


「キャロル様!

 全部聞かせて下さいませ!」


 今日もピンクゴールドの髪がフワフワ揺れている。


 その横でアグネス嬢がまあまあとフワリー嬢を宥めていた。


「御機嫌ようキャロル様。

 私も朝聞いて本当に驚きましたのよ?

 お話をお伺いしてもよろしくて?」


 アグネス嬢が穏やかに微笑む。


 鉄壁の笑顔だ。


 内心が分からないが完璧に作られた笑顔だと分かる。


「…えっとですね、私もよく分かってなくてですね。」


「…まあ。」


「覚えている限りをお話するので判断をお任せしても良いですか?」


「えぇ、かまいませんよ。」


 どうぞお掛けになってと勧められて椅子に腰を落とす。


「えっとまずはですね、たまたま偶然殿下にお会いしまして。

 レオン様が話して下さっておられたからか話かけて頂きました。」


 これはレオンと作っておいた設定だ。


 塔に住んでるのもルシウスが寝に来ているのも内緒の上、朝の茶会にも参加していなくてルシウスに顔合わせ以外会っていないはずのキャロルにルシウスが話かけるはずがないと、レオンがでっち上げた設定である。


「レオン様と殿下は幼なじみですし、レオン様とキャロル様は仲がよろしいですものね。」


 フワリー嬢も頷いてくれる。


 納得して貰えたらしい。


「そこで昨日アグネス様の派閥に入れて頂いた事を話すと、アグネス様の派閥を勝たせようか?と言われまして。」


「まあ…。」


 アグネス嬢が薄ら頬を染めた。


 ルシウスが自分を贔屓しようとしたと聞き喜んでいるようだ。


「ただ、アグネス様とフワリー様の年齢を考えて婚約者としてきちんと決まる前に離宮に閉じ込める事になるのは可哀想だと。

 その点私なら元々一応王宮の敷地内に住んでおりますので何も変わらないだろうと仰いました。」


「殿下…私達の事を考えて…。」


 フワリー嬢が鼻をすする。


「だからお渡りを受けたフリをしようと言う事になったというのが昨日の主な流れです。」


「お渡りのフリですか…?

 失礼ですがどの様な事をなさったかお聞きしても?」


 キャロルはレオンにした説明をそのまま2人に話す。


 もしフリではなかったらどうしようかと言う話にレオンとはなったが、本当のお渡りが分からない2人には嘘さえ思い付かなかったのだ。

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