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「…なんで帰省なんて書いたんだい?」
言葉遣いが戻った。
これはいける。
「私が先に適当な理由として帰省と書きましたがレオンは実家が王都の為理由にならなくて。」
「…じゃああれは?」
窓辺に干されるレオンのパンツを顎で指した。
「あっそれは多分レオンが気持ち悪かったのではないかと。」
「…へえ?」
また空気が重く戻ってしまった。
地雷源がさっぱり分からない。
いや、考えろ。
考えるんだキャロル。
こいつは仲間外れにされるとすぐ切れる面倒な奴だ。
「あっ分かりました。」
「は?」
「殿下もシャワー浴びて下さい。」
さぁどうぞ、とバスルームを指差す。
「…意味分かってる?」
「あっはい。
それはもう重々。」
ルシウスのパンツも並べて干してやれば怒りも治まるであろう。
レオンの話からこいつの趣味がおかしい事は分かっているのだ。
「…キャロルはもうシャワー浴びたんだろ?」
「えっまあはい。」
「俺も朝浴びたから別にこのままで良い。」
まさかの却下だ。
もしかしたら拗ねている癖に意地を張っているのかもしれない。
「いやいや、どうぞ浴びて来て下さい。」
「…なら一緒に入る?」
そう言ってルシウスはキャロルの首元の釦に手をかけた。
何故そうなる。
何故予想の斜め上を狙い撃ちしてくるのだ。
「殿下!!!
ストップです!!!
誤解でしたから!!!」
リアムが汗を流しながら部屋に飛び込んでくる。
さすが常識人。
最早救世主とも言える。
「誤解?」
「はい!
休暇申請書は遺跡探索の為で今日も魔道具を作るのに汗をかいただけだそうです!」
「…。」
ルシウスが釦からゆっくり手を離す。
「…魔道具?」
「はい。
恐らくそこにあるのが今日作った『えあこんでぃしょなー』なる魔道具ではないかと。」
キャロルもこくこく頷いた。
それを聞きルシウスが立ち上がるとレオンが部屋に飛び込んで来る。
「よかったなあキャロル!
俺もうキャロルは死んだかと!」
レオンはキャロルに飛び付いておいおい泣いている。
ルシウスが無表情でレオンを引き剥がす。
「…まぁ今回だけは多目に見るよ。」
「あっありがとうございます?」
キャロルが一応お礼を言うとルシウスがようやくいつものトレードマーク、笑顔を浮かべる。
「ただ、色々話し合う必要がありそうだね、キャロル?」
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