32
「あっあれゴブリンなんじゃねえか?」
2日目の夕方レオンが興奮気味に騒いだ。
緑色の小鬼が前方を歩いている。
何かボロ布を引きずっている様に見えた。
「…あれ何を引きずってんだ?」
「…人間だね。」
ルシウスの言葉にレオンがヒッと息を呑む。
「たっ助けなきゃ」
「…もう死んでるよ。
殺してからじゃなきゃゴブリンは集落に持って帰らないから。
馬はこの辺に繋いで追いかけよう。
あいつはこのまま集落に向かうはずだよ。」
「…お待ち下さいノア。」
リアムが足元の獣の足跡を見て眉間に皺を寄せている。
ルシウスもその足跡を見て顎に手を当てた。
「…マンティコアの足跡か。
この数を見るに移動するみたいだね。」
「えぇ、恐らく狩りの為だと思われます。」
どうしようか…と少しだけ考えるとルシウスは指示を出した。
「足跡もまだ新しいし狩場につくまでにはきっと追い付けるよ。
先にゴブリンの方を片付けてしまおう。
…最悪カロルに先に着かれたとしてもあの街は冒険者が多いし辺境騎士団の詰所もあるからね。
持ち堪えてくれるはずだよ。」
「えっこの足跡のマンティコアはカロルに向かってるのか?」
「マンティコアは人間を好んで食べるからね。
これだけの量の足跡だよ。
かなり大きな群れだと思って良い。
森に入り込んで来る冒険者だけじゃ群れ全体の胃は満たせないよ。
…だから移動しだしたんだろうね。」
「嘘だろ…。
それなら先にマンティコアを倒した方が」
「いや大丈夫だレオン。
ノアの言う通り多分カロルを襲う前に追い付けるさ。
ほらここ小さい足跡があるだろ?
まだ子供だ。
マンティコアは群れの仲間を大切にするからな、歩みの遅い子供のマンティコアの足に合わせて移動するはずだ。」
「…分かった。
急いでゴブリンの討伐を終わらせようぜ!」
レオンが青ざめながらそう言うとルシウスも微笑んで頷き歩き始めた。
先程の会話の間にゴブリンから少し離れてしまっている。
「…キャロさん歩けるかい?」
「大丈夫です。」
昨日より筋肉痛が大分ましになったキャロルも馬から飛び降りて先を行く2人を追いかけた。
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