奇妙な出会い

 目を覚ますと、私は知らない場所にいた。

 そこはまるで現実味のない、そんな場所だった。

 そしてなんでだろう。

 私の頭にズキリと痛みがある。


「あら?最後にいらっしゃった方がようやく目覚めたようですわ」


 とどこかで聞いたことあるような声が。


「あれ?ここは…?うっ…頭痛い…」

「大丈夫ですか?まあ…見事に大きなたんこぶができてます」

「えっ!?ホントですか!?通りで痛いわけだ…。気づいてくれてありがとうございます…」


 と私のことを診てくれた女の子にお礼を。

 彼女は「いえいえ」とにこりと微笑みながら言った。

 あれ?やっぱり初めて会うけどどこかで見たことある気がするな…。

 どこでだっけ?

 うーん…思い出せない…。

 でもこの子、すごく雰囲気がお上品だ。

 きっと育ちがいい子なんだなと私は思った。

 私が想像したロゼッタ様のリアルな姿がだいたいこんなイメージだ。


「おい、最後の一人の目が覚めたってよ。じゃあ話してもらおうか、俺らをこんな妙な場所に連れ込んだ理由をよ」


 あっ、あの人は…!?

 『焔竜』のプレイヤーさん!?彼もいるの?

 それにもう一人いるようだ。

 今朝あったきれいな人もここにいる。


「あなたたちは選ばれたのよ」


 私の部屋にいきなり現れた少女だ!

 ここにいる人たち、みんな彼女に連れてこられたんだと私は感じた。


「選ばれたって…いったい何に?」


 と今朝のきれいな人が。


「私の計算によってあなたたちは選ばれた。【探索者ファインダー】としてね」

「ファインダー…ということは何かを探さなくてはいけないということですか?」


 とお嬢様な女の子はホログラムの少女に言う。

 そしてホログラムの少女はうなずいた後こういう。


「あなたたちに探してもらうのは羽賀雪菜うがせつなという人物に関することよ」


 羽賀雪菜…?

 全く知らない人だ。

 だけど、『焔竜』さんはどうやら心当たりがあるようだった。


「なんでお前が雪菜のことを知ってるんだよ…!もしかしてお前…」


 と『焔竜』さんが何かを言いかけたが、ホログラムの少女はそれを遮るように言い始める。


「私のことは…そうね、ホロウとでも呼んでちょうだい。意味は中身が詰まってないとかうつろ。じっさい私の存在はあやふやだから自分でもしっくりくるのよね、この名前が」


『焔竜』さんはなんだかばつの悪そうな顔をしている。

何かを知っているのかもしれない。

が、同時に思い出したくないことなのか顔色を悪くしている。 



「いきなり現れて、いきなり次へっていうのはさすがに失礼に値するからね。互いのことも知るべきだろうし、まずここでお話でもしたらどうかしら。私の次の命令は…そうね、今週の金曜の夜。またここに来れるようURLは添付しておく。ああ、当たり前だけど拒否権はないわ。サボろうなんて考えたらあなたたちの個人情報全世界にさらすから」


 最後に恐ろしいことだけ言って、ホログラムの少女…ホロウは姿を消した。

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