ネタバレありのあとがき。作品裏話と感謝

◎万能粒子についてのいろいろ


・外見から中身まで高度な具体性がないと機能しない。


 想像したものを現実化するというなんでもありをそのまま通したら、本当になんでもありで大変なことになりそうだったので、自由には使えない設定にしなければならなかったのです。そのため、制限を賭けなければなりませんでした。しかしあまり強い制限だと、今度は壮大なファンタジー感のある状況や戦闘を描けないと思い、結果、創るのに時間がかかるのでなんでもかんでもはできないようにすることで、ファンタジー感のあるすごいものを出せる一方で、手が付けられないという状況にはならないようにしました。


・人間の最大値2000と『人』の最大値30000


 15倍の差があるが故に『人』の方が圧倒的な強さを持つことは決めていたのです。この数値の基準は、人間が通常つかう光弾1発が5、光刀の生成に必要な粒子数が300。というところから決まっています。作中では余り強調はしませんでしたが、何かを生み出す際に使うテイル粒子量もここを基準に作っています。例えば、八十葉光が使う『星光の涙』などは、一発に50のテイルを使っています。通常の弾丸の10倍のテイルを使って貫通力を高めているのです。



・保有テイルの値を回復できるのは人間だけ


 人が完全に人間の上位互換であれば、そもそも人間に存在価値はなくなってしまうと思い、人間をテイルを生み出せる唯一の資源とすることを思いつきました。こうすることで、その世界の現在の暮らしを支えるテイルを供給できるという価値が生まれ、人間が未だ生きてなければいけない世界というのを強制され、人間の扱いの差異で『人』のキャラ付けができるようにしています。




◎人間と『人』


・人間の上位種を出した理由


 そもそもファンタジー作品としてこの作品を作る際に、この世界にしか存在しないオリジナリティを出したいと思いました。しかし、お気づきの人もいるかもしれませんが、この作品の舞台は、日本にどこか似ている場所が舞台、という雰囲気も出したかったのでドラゴンのような伝説上の動物やエルフみたいな違う種族を出すと、日本という感じがしなくなってしまう。考えた末に生まれたのが『人』です。


・冠位


 実はこの名前は、日本の歴史でも登場する冠位十二階から来ています。上から、大徳・小徳・大仁・小仁・大礼・小礼・大信・小信・大義・小義・大智・小智の12階の等級があったそうですが、ここでは徳、仁、礼、信、義、智の6つの名を借りた等級へと変えて家の優秀さを示す言葉として使いました。


・第二次戦国時代


 『人』の存在により、倭には再び貴族(士族)と平民が混同する時代とほぼ同じ構図になりました。先ほど人間をどう扱うかというのをキャラの性格設定に使うと言いましたが、人間をどう扱うかによっての国内での争いも『人』の間では起こるだろうと思い、そこから第二次戦国時代の設定ができました。もっとも、今回の舞台では、御門も八十葉も天城もなんだかんだで仲良かったため、強くその面を出すことはありませんでしたが。



◎ストーリー展開について


・明奈が明人と奨を好きになるまで


 今回の話の中では、明確に明奈が明人や奨に恋愛感情を見せることはなかったと思います。明奈の態度はあくまで従者、しかしそれでも先輩2人の優しさに触れ、少しずつ『この人達と一緒に居たい』という気持ちが芽生えてくるよう、明奈の心情表現をできる限り入れました。たった1か月で大きな変化と、その後に復讐を望むまでが不自然にならないように。この1か月の共同生活が善きものになるように。


・明人の明奈への一目惚れ


 こればっかりはどうするか悩みました。奨は師匠である莉愛と同じように弟子となった明奈を可愛がらなければという軌跡がありますが、明人は命を賭けるまでにどうして明奈を大切に思うか。ここで恋愛要素を入れたかった。やはり恋心は相手を想い人の行動を変える一番の原動力だと思っているので、それで十分だと思いました。何しろ明人は純粋な男だと自分では思っているので。


・源 閃 VS 太刀川 奨


 これはやりたいバトルその1でした。

 〈人〉と人間が戦うという象徴となる戦いになる……予定が、意外にも個人的な理由での闘争という印象の方が強かったかもしれないですね。しかし、バトル描写はここに一番力を入れました。これに関しては、強い奴と強い奴の戦いをどこかで必ずやるということは決めていました。今回は3話分を使って、かなり本気で、読み手の皆様の想像を超えていくようなものを書きたいなと思い書きました。結果はまあ、まだまだってところですね。


・八十葉、御門、天城等の冠位の家たちの存在


 記念すべき第一作に、一番強いと設定上言われている徳位の連中を出さないというのはいかがなものかな、と思い3人ほど出しましたが親人間派の派閥ばかりになってしまったのは、ストーリーの進行の為には仕方がなかったかなと思いつつ、そうでもないかなと思いつつ。


・襲撃者の正体


 奨の過去を熱く語っている時点で察しの良い方なら敵が何者かは分かっているかもしれませんでしたね。Against humanの物語は実は〈人〉に抗う人間の話ではなく、抗うために世界を壊してしまう者との戦いという意味で今回のタイトルはAgainst humanということになっています。つまりもしも次のエピソードを書くとしたら、それは〈影〉との戦いを描くものになるでしょう。


・ラスボスは春


 これは実は初期から決まっていました。ヒロインとラブラブする物語も好きですが、私はヒロインと主人公がぶつかって愛を確かめ合う展開が大好きです。なので、今回は通常のイチャイチャを明人と明奈にやらせた分、奨と春には報われない最終決戦に挑んでいただきました。――いや、もちろんそれだけであんな展開にはしないのですが。ちゃんと勢いだけではなく、努力が報われない厳しい世の中であることを、奨を通じて皆様にお伝えできればよかったかなと思います。





皆さん、私のカクヨム初作品はいかがだったでしょうか。よろしければ応援コメントやレビューなどで感想を頂けると嬉しいです。

そして今後とも戸崎亨と、Against humanの次エピソード。

並びに、また別の作品もよろしくお願いします!

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