瞬間移動もの、ここに極まれり!!(6)

・きぃちゃん:ラノベ作家志望のJK2。アホな子。


・桃ちゃん:いい子。


・青ちゃん:不思議ちゃん。


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前回までのあらすじ:「瞬間移動の能力者や道具が登場するラノベを書いてみたいなぁ!」ときぃちゃん。あれこれアイデアを出す3人だが……「瞬間移動」編、最終回!


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き なんかこう、「エロティックで幻想的な瞬間移動」ってないかなぁって考えてたんだけどさぁ。


桃 ……エッ、エロティックで幻想的な瞬間移動!?随分ピンポイントだね……。


き いまやっと思いついたよ!


桃 あっ、思いついたの!?へぇ……さすがきぃちゃん!どんなアイデア?


き ズバリ、「全身に地図が浮かび上がり、指でタップした場所へ瞬間移動できる能力」を持った女子中学生の話!


桃 えっと……どういうこと?


き 想像してみてよ。……夜。青い月の光。透き通る白い肌に、まるで無数の血管が這うかのように道路が浮かび上がっている……どうよ!!エロティックで幻想的だろー!


桃 あー……確かにきれいかもー!


き ピンチイン、ピンチアウトで目的地を探してさぁ!


桃 あっ、そこは急にスマホっぽくなるんだね……。


き ドヤッ!


青 うん。「化物語」の「なでこスネイク」に、千石撫子の体にヘビの鱗が発現する有名なシーンがあるけれど、あれを彷彿とさせるね。


き おっ!言われてみれば確かに……。


青 鱗と地図はまったくの別物だけど、雰囲気は似た感じになりそうだと思った。


き なるほど。……んー、よっしゃ!そしたら、自分でタップしても効果はなくて、他の誰かにタップしてもらわなきゃいけないってことにしよう!


桃 他の誰か?


き そうそう!つまり、こんな感じよ!……夜、主人公の少年が、少女の部屋にやってくる。2人は昔なじみで、幼い頃から兄妹のように付き合ってきた関係。少女は不意に立ち上がり、静かにブラウスとスカートを脱ぐ。


桃 えー!


き 主人公は動揺して、「おっ、おい!急にどうしたんだよ!」。少女は恥ずかしそうに俯いて、「今日の目的地、お尻の当たりにありそうなんだ。自分じゃよく見えないから……」、「そっ、そっか……」、「お兄ちゃん。私、ベッドに座るから見てもらえるかな?」。


桃 うーん……予想以上にエロっぽかった。


き 主人公は必死に平静を装って、「おっ、おう!えっと……この辺りかな……」。少女はさらに「お兄ちゃん、探しづらい?」と言って、尻を突き出すようなポーズをとる。「ほら、これで見やすくなったかな?」。


桃 あらー!


き 主人公は生唾を飲み込む。「おっ、おう」。少女が艶っぽい声で呟く「お兄ちゃんはもう大人だから……私のこんな格好を見てもいやらしい気持ちになったりはしないのかな?」。


桃 あららー!


き 主人公は言葉につまる「うっ!」。……ってな具合。どうかね?


桃 ……。


き おや、桃ちゃん、頬が赤いようだけど?


桃 ちょっ!なっ!そっ!そんなことないよ!元々こんな具合だよ!生まれ落ちたその時から頬が赤くて、まるで完熟の桃。だから私、桃って名前なんだもーん!


き あー、そうだっけ。


桃 そっ、そうだよ!きぃちゃんのエッチ!エッチ!エッチ!


き いや、知らんけど……。青ちゃん、どうかね?


青  うん。あざとさ丸出しの少女がいいね。同性から一番嫌われるタイプの女って印象で、まさに「化物語」の撫子に通じるものを感じる。


き うーん、ちょっと撫子に寄せ過ぎたかなぁ。もうちょい個性を出すためには……。


青 同性同士にするのも一案だよね。


き おっ!いいねぇ!女同士か、それとも男同士か……。


桃 えっ、えっと……きぃちゃん。


き んー、どした?


桃 あのさ、あの、それで、あの……さっきのお話なんだけど……女の子がお尻を突き出して、それからどうなるのかなぁ……なんてさ!


き ……桃ちゃん、気になっちゃった?


桃 きっ、きっ、きっ、きっ!


き ふむ。そうだなぁ……まぁ、主人公は、少女の太ももの付け根あたりに目的地を見つけるわけだ。


桃 へっ、へぇ!そうなんだー!


き そしてそっと撫でるようにして触れる。少女は熱い吐息を漏らす。次の瞬間、2人は瞬間移動!眼前に迫る悪の怪人!主人公はガバリと立ち上がり、敵に向かって駆け出す!「クソー!いつもいつもこんな調子だ!クソー!」。そして2人は怪人をボコボコにして、地球の平和は守られたのであった。おしまい。


桃 ……えっ。


青 つまり、愛と満たされぬ性欲だけが友だちのヒーローってわけだね。


き イエス!


桃 イエスじゃないよー!読者も満たされぬ思いを抱えたまま眠れぬ夜を過ごすことになるじゃーん!!責任とって!!


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みんなの夜守るためーー!!

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