六十一秒物語 (習作)
柏堂一(かやんどうはじめ)
火星に行った話
火星の大接近が話題になっているとき、湿気の多い風の吹く夜道を歩いていると、後ろからついてくる者がいる。誰かと振り向くと丸い赤い頭をした男がヤアと近づいてきた。誰かと思った途端、流線型の箱に入れられ空に向かって放り上げられた。窓から外を見るとお月様と目があって気を失った。気が付くと赤い星に居て丸い赤い頭の男がヤアと言ったので、何をするかと殴ろうとするとシュッと放り上げられ気を失った。気が付くと湿気の多い風の吹く夜道に戻っていた。遠くの空で丸い赤い頭の男が笑っていた。
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