第72話 魔導忍者は大魔導士を賢者の塔に迎える
「ここが『魔導骨格』のメンテナンスルームであるな」
「『魔導骨格』のコンセプトも素晴らしいが、機材のクオリティーも素晴らしいのであ~る!」
この興奮が隠せないと言った声は魔導士メイザースのもの
しかしその姿は、ホネホネな不死者:リッチでは無かった
銀色の髪に知的な赤い瞳身長は180cmくらいか
黒のタキシードに裏地が赤い黒のマントを羽織っている
ヴァンパイアっぽいのはリッチだったころの影響か?
しかもバベルと遜色のないイケメンだった
と言うよりも瓜二つだった
青と赤のオッドアイが左右反対でなければ区別がつかないほど
言葉遣いは相変わらず変であ~る
現在、バベルと共に自分が設計した『賢者の塔』の見学ツアー中である
『天空の塔』は『賢者の国』のすぐそばに着陸している
突然空から巨大な塔が降りてきて、住人である獣人族たちは皆驚いたが、『賢者』であるバベルの
「我が主がなさったことです」
の一言で皆納得してしまった
その圧倒的な戦いぶりを目にした彼らは、
「『賢者の主』は神のような存在」
と認識しているようだ
メイザースは『賢者の塔』でホムンクルスとなり人の姿を得た
本来、『生者』とは対極の存在である『不死者』がホムンクルスになることは出来ないはずだった
「『邪竜』の邪悪な要素が消えた原因を調査している際に分かった事なのですが」
「『合力』は聖と邪、生と死といった相容れない要素を融合させる力があったのです」
と言う訳で、バベルさんの研究の成果により
魔導士メイザースは『不死者であり生者でもある』と言う
この世界でも唯一の存在となったのだ
一方雷蔵たちは、『応接の間』にて今後の方針について話し合っていた
1.八大竜王に会う
2.エルフの里の世界樹に向かい精霊王に会う
3.『邪神』を討伐する
この中のどれが最初の目的となるのか!?
「と言う訳で、俺たちは魔王に会いに行く!」
いきなり第4の選択肢あらわる
実は、代々の『賢者の塔』の管理者たちの計画の中に『魔族』と呼ばれている者たちを救済することも含まれている
彼らは、人がロワン・エトワール(遠い星)と名付けたこの星の『先住民』だったのだ
しかし、約7000年前に人類がこの星に飛来した際に、自分たちの住処を追われるばかりか『魔族』と呼ばれ『人類の天敵』であると決めつけられてしまった
彼らは身体能力も高く厳しい環境でも生きていけたが、それでも住み慣れた土地を奪われ荒れ果てた、強力な魔物が済む『魔族の大地』と呼ばれる地で生きていく事は、常に死と隣り合わせの生活だった
『魔族の大地』は強い者だけが生き残ることを許された地
弱い者は、飢えや病もしくは、人類の天敵である『魔族』を退治する名目で殺され、魔物に襲われて死んでいった
雷蔵は、元より、獣人族たちの救済後は、先住民の救済を実行するつもりだった
その為には、まず先住民たちを率いる『魔王』に会わねばならない
「クリスは直ぐにでも両親を救いたいだろうが、少し待ってもらえるか?」
「はい 大丈夫ですよぉ」
「父も母も結界に閉じ込められてはいますが、危険な状態ではありませんのでぇ」
「我も更なる力は欲しいが、何よりも命の危険に瀕した者達を先に助けるべきだと思う」
「『魔王』が素直に会ってくれるのかねぇ? まぁ行ってみるしかないか!」
女子たちも異論は無い
「『魔族の大地』の大地に行くのであるか?」
「吾輩も言ってみたいのであ~る」
メイザースが好奇心に満ちた目で、雷蔵にそう告げるが
「メイザースには頼みがあるんだが」
「む! ライゾー殿にはこの体を与えてもらった」
「大恩があるのであるからして」
「吾輩のできる事なら何でも言うのであ~る!」
「頼みごとを引き受けてくれるのはありがたいんだが」
「ホムンクルスの礼ならバベルに言ってくれ」
「メイザース様がホムンクルスになることが出来たのはマスターの『合力』の賜物」
「私は少々助力させて頂いたまでです」
「バベルには世話になりっぱなしで申し訳ないんだが」
「今回はメイザースと二人であるモノを作って欲しいんだ」
「マスターの望みであれば喜んで」
「それで吾輩たちに作って欲しいモノとはなんであるか?」
「『飛行船』だ」
「「「「「「飛行船!?」」」」」」
飛行船それは浪漫!
いやいや、もし実用化できれば、人や物を安全にそして速やかに輸送できる
この世界の文化レベルが、飛躍的に高まるそんな存在だ
「確かに吾輩が『天空の塔』を空へと浮かべるために発明した『浮遊石』を使えば、それ程難しくはないのである」
『浮遊石』とは『天空の塔』を空に浮かべるためにメイザースが開発した魔力結晶の一種だ
『賢者の塔』にも飛行技術はあるが、消費魔力の効率、飛行能力に関しても『浮遊石』が格段に優れている
「『天空の塔』ほどの質量を浮かべることが出来る『浮遊石』」
「実に興味深い!」
研究好きの『賢者』バベルも乗り気である
かくして、雷蔵たちは『魔王』に会うために『魔族の大地』へ
魔導士メイザースは『賢者』バベルと共に『飛行船』の制作に取り掛かることになった
これが世界を大航空次代へと導く始まりの日となる
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます