魔導忍者忍法帖
ゴブリン三等兵
転生編
第1話 伊賀の里の滅亡(前編)
天正9年(1581年)織田信長は伊賀の国攻略に乗り出した
里を裏切った忍者を案内として、織田軍は、伊賀の里目前まで進軍していた
信長は、ここで軍の歩みを一旦止めさせる
場の雰囲気が変わったのを感じたためだ
(そろそろか・・・?)
そして案内役の忍びに尋ねる
「里までは、あとどのくらいかかる?」
「残すところ半時ほどの距離まで来ております」
確かに前を見渡すと、村落らしきものが広がっているのが分かる
事前に忍び込ませた斥候の報告では、約1万の伊賀忍者が集結している
方や、織田軍の軍勢は約5万
兵法では、守り手に対して、攻め手の戦力は3倍必要であると言われている
5倍の戦力差ならば、今までのような戦であればたやすく勝てると判断するところであるが、今回の相手は、忍術という特殊な能力を使う者たちを相手にしなければならない
なかでも、伊賀の忍術は、他国の忍びのそれに比べて格段に強力なものだとの、噂に高い
(此度の戦、下手をすれば負けるやもしれぬ・・・)
信長はそう睨んでいた
だが天下統一という壮大な目標を達するには、もはや歩みを止めるわけにはいかない
そして意を決して、家臣たちにこう告げる
「此度の戦、伊賀勢1万に対して、わが方は5万」
「圧倒的な戦力差だと思うであろうが、決して油断するな!」
「忍びの力は侮れぬ、五分と五分の戦いと考えよっ!」
「「御意!」」
改めて、家臣たちの意識を引き締めるためやり取りであったが、その最中自体は、思いもしない展開を迎える
はるか上空から一筋の光が伊賀の里へと延び、届いた瞬間に轟音を発した
『何事!?』
そう思い、改めて里の方に目を凝らすと、信じられない光景が飛び込んできた
「殿!龍が、光を放つ龍が里に現れてございます!」
普段は取り乱すことなどない家臣の一人が、おびえた様子を隠すこともなくそう報告してくる
それもそのはず、突如現れた龍は、全長50mを超えるのではないかと思われる巨体をもち、その龍が放つ恐ろしいまでの怒りの感情を、織田軍の一人残らずがひしひしと感じていたからだ
光を放つ巨大な龍、そしてそれが放つ強烈な怒気
このような異常事態、あまたの戦場を駆け抜けてきた強者供でさえ体験したことはなかった
(あれは、伊賀の忍者の忍術によるものか?)
(まさかこれ程のものとは!)
(これでは、たとえ5万の軍勢でも勝てぬっ!)
信長は、遠目からでも、はっきりと感じる龍の威圧感
そして、気を抜けば身動きさえ取れなくなりそうな強烈な怒気を感じた瞬間に、挑めば負けると直感した
(恐らく、退却もままならぬ)
(よもや人生の終わりまで覚悟せねばならとは・・・)
そう思った矢先、先ほどまで吹き付けていた怒気が、うそのように消え失せる
そして、龍は身に纏った光をひときわ強くさせると同時に、幾条もの雷を瞬時に伊賀の里全体へと放つ
そして、一条の光へと姿を変え、天へと昇って行った
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