第563話
ダイバとシーズル、そして彼らの部下が一個団体でやってきた。結界内で妖精たちの話を聞くのは二人だけで、隊員たちは1階のマッピングにきたらしい。
「「「死んでねえ!!!」」」
「時間の問題だと思うよ」
「俺たち
《 わけないでしょ! 》
《 そうよ! 私たちと同じ、死なないんじゃなくて再生するの! 》
「そんなバカな……」
「バカはお前らだ」
シーズルが呆れたように息を吐きだし、私たちは無言で頷いて同意する。
「君らと同じく罪を犯した
シーズルが彼らの知らない話を始める。
精霊信仰を掲げる国に訪れ、盛大な歓迎をされた
「我を
そう宣った彼は巨大な水晶に封印された。
水晶は戦勝国に運ばれる途中で一度
……当時の記録には人々の驚きと混乱が残されている。
巨大な水晶は信仰の象徴となっていた。古い文献に『手厚い歓迎に喜んだ
「奪われるくらいなら……」
信仰の象徴を奪われるくらいなら自分たちの手で破壊する。信仰の象徴は心の中にある。
そして成功した水晶の破壊は、中の
「しかしなあ……君らの言うとおり、
「そいつがなあ……数年前にダンジョンで見つかったんだ。
見つかったのは、
ミリィさんからの提案で、ミリィさんの知り合いの
「フィシスひとりでは辿り着けない可能性があったわ」
ミリィさんはそう言って笑う。冒険者時代、乗り換えで間違えること多数。ただ、シシィさんやアンジーさんたちが一緒だったため最終的に間違った道に進まずにすんでいたそうだ。
そんなフィシスさんからお願いされて、
「封印はこのままにするわ。少しずつ封印は弱くなっているの。あと200年ほどで封印は完全に消えるわね」
封印が解かれたときに、これは傲慢による言動の罰だと伝えるそうだ。
「知り合いですか?」
「いいえ、同種族なだけよ」
精霊王の住む森に牢ではないが監視の厳しい区域があり、そこに置いておくそうだ。
「そこには闇に堕ちかけた花の妖精もいるの……種に戻って眠っているけど、植物に囲まれて穏やかに眠っているわ。彼女はあと15年は目覚めないし、目覚めても二度と外の世界には出られないわ。……それだけの罪を犯したのだから」
「妖精は人に影響されます……私の仲間たちのように。だから、私たちはお手本となり、間違った道に進まないように注意しないとダメなんです」
私の言葉を聞いて妖精たちが口を挟む。
《 それをエミリアがいうかなー? 》
《 それを
《 そんなことをボクたちが言っても意味がないと思うけどなー 》
《 私たち『似たもの同士』だもんねー 》
《 『朱に交われば赤くなる』っていうよねー 》
《 この場合『類は友を呼ぶ』だよ 》
「
《 キャアアアアアアアア!!! 》
《 だから猫じゃらし禁止ー! 》
蜘蛛の子を散らすように一斉に逃げ回る妖精たち。ここはミリィさんのお店の2階にある応接室。私たちとミリィさん、フィシスさんとシシィさんとアンジーさんが同席して話をしていた。エリーさんは……そういえばいなかったな。
《 まったく! どこから持ってくるのよ! 》
「え? ほら、こうして種があってね〜」
《
「やーだよ〜。ミリィさ〜ん、みんなが私のオモチャを取り上げようとする〜!」
追いかける側が追われる側になり、慌ててミリィさんの腕の中へ飛び込む。ミリィさんは微笑みながら抱きしめて優しく私の頭を撫でる。
「エミリアちゃん、あんまりおいたはダメよ」
「……はーい」
《 もう、ミリィはエミリアに甘いんだから…… 》
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。