第519話
エミリアたちがファウシスからダンジョン
表向きは動きのなかったコルスターナ国とパルクス国の戦争。しかし、各地では小競り合いなどが続いており小さな火種は残っていた。前線では小隊同士の魔法が飛び交っていた。
そんなある日、パルクス国側の準備が整ったのだろう。燻って下火になりつつあった戦火が一気に復活した。魔力による攻防戦は長く続かなかった。魔法攻撃時に外される結界は両国共に脆くも壊れさった。結界を外す前に攻撃魔法を放って自滅したのではなかった。
冒険者が使う結界石であれ、軍隊が使う結界の魔導具であれ。結界の特性上、結界内外の魔法攻撃は結界に触れれば無効化される。反射して味方を攻撃することがないのは、結界が子供による魔法の暴走を食い止める際にも使われるからだ。
結界が壊れたのは、無駄な
上層部の思惑がはずれて両国は一気に態勢が崩れた。結界が張れないなら魔法は温存されて人海戦術による戦闘に切り替わる。殲滅ではなく捕虜、果ては奴隷となる者を手に入れることが優先されるからだ。奴隷は戦争で失われた人手として戦後処理を、そして売却して戦争に使った国庫の充填にあてられる。美姫・美丈夫・美童・美少女は特に高価で取り引きされるため、できるだけ無傷で捕らえなくてはならなかった。そのため、魔法は防御や補助を中心に使われる。
戦力ならコルスターナの方が上だった。パルクス国側はジリジリと後退をよぎなくされ、それにより残された兵士が捕虜にされていく。
そんな中、パルクス国側の軍勢から歓喜の声あがった。加勢となる軍隊が到着したのだ。そして一気にコルスターナ国の陣形が崩れていった。
『死隊』が前線に投入されたのだ。
各国で奴隷たちを殺して作られた死隊は、コルスターナの兵士たちを無慈悲に殺していく。そして死んだ兵士はその場で死隊に加えられて、コルスターナの仲間たちを道連れにしていった。
そんな死隊も……陽が落ちて夜空が戦場を支配するといつの間にか消失していた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。