第276話
休憩したあとのルブランは迷いが吹っ切れたようだ。
《 ンもう! イタズラ好きなエミリアの考えていることが同調術でわかるんだったら苦労しないわよ! 》
そう断言した風の妖精は、直前に私から
休憩中に私との同調を体験させたフローリアと子供たちは、はじめての妖精との遭遇に興奮しきりだった。
「これがお父さんの見ている世界だよ」
「これが……」
「「すご〜い!」」
《 ねえ、見える? 》
《 私たちの声が聞こえる? 》
「うん、見えてるよ!」
「……ようせい、さん?」
《 そうだよ! 》
「かわいい‼︎」
《 ありがと♪ キャルもカワイイよ 》
「わーい!」
飛び跳ねたりして全身で喜びを表現する子供たちと、見てもらえることでハイテンションになっているルブランの妖精たち。キャルことキャロラインは幼いせいか、はしゃぎすぎて草原にひっくり返ったもののそのまま笑い続けて、両親には「頭を打ったのではないか」と心配された。
「ルブラン。風の妖精がキャルを守ったの、見なかったの?」
《 うん、私たちキャルを守った 》
《 一緒に守ったよね〜 》
《 ねー 》
二人の風の妖精たちが手を繋ぎながら笑顔で声を合わせる。
「……風のコントロールをしていない」
「ふうちゃんが一緒だからね。それに同調術を練習したときに、ルブランの妖精たちはうちの子たちと同調してコントロールの仕方を覚えたはずだよ。言ったでしょ? 『同調術を使った状態で魔法も妖精の
《 使い方を覚えたら、エミリアがコントロールしなくても大丈夫なんだよ 》
《 今はエミリアが同調術を使ってるから、私のコントロールもエミリアがしてくれてるよ 》
「いやー、残念残念。ふうちゃんみたいに魔法の威力にビックリして暴風を起こすんじゃないかっておもしろ……」
《 もう! 面白がらないの‼︎ 》
地の妖精にペチンッと頭を叩かれて言葉を遮られる。
「そういうけど、ちぃちゃんだってその風に花を散らせて花吹雪にして遊んでいたじゃない」
《 だったら、光と水だって一緒じゃない 》
そう、風に水分を含ませて( 水の妖精 )、それに光をあてて( 光の妖精 )周りを煌めかして遊んでいた。
《 つまり…… 》
《 類は友を呼ぶ 》
「似たもの同士」
《 朱に交われば赤くなる 》
《 ……どっちもどっち 》
そういってため息を
「クラちゃん。クラちゃんだってその仲間の一人なんだからね」
《 もちろん、その自覚はあるよ 》
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