第93話
エリーさんたちの『話し合い』が終わったのは、翌々日の午後でした。
キッカさんから料理のリクエストを貰い、それを纏めて送っていました。朝食分は夕食後にリクエストが来ました。その時点で送り、朝は遅めに起きれるようにしてくれました。
『エアちゃん。戻ったわよ。『報告会』をするから出てきて』
エリーさんから連絡が来たのは16時を回った頃。すぐにテントを出ると、多少疲れた表情をしたエリーさんが笑顔で立っていました。
「エリーさん!」
急いで結界石をひとつ取り、そのまま収納で結界石とテントを回収してからエリーさんに飛び付きました。エリーさんは私を抱きしめると、大きく息を吐きます。
「あー。やっと『終わった』って実感出来たわ」
「エリーさん。おかえりなさい」
「ん。ただいま」
私を抱きしめて、安心したような声で言葉を吐き出すエリーさん。
そんな時、荷台の後ろの幕が誰か捲られました。
「おい。エリー。報告会は俺たちのテントでいいな」
「私の邪魔をするな」
「あ、キッカさんおかえりなさい」
「ただいま戻りました。エリー。落ち着きたいなら、先に報告会をしてからにしろ。全員待ってるぞ」
「・・・・・・チッ」
渋々という感じで、エリーさんが抱きしめていた腕を緩めました。
「エリーさん?」
「色々と大事な話があるからね。エアちゃんが困ることにはならないから安心して」
「アルマンさんは?」
「大丈夫よ。アルマンはすでに『
「これからも『冒険者のアルマン』さんですか?」
「そうよ」
「・・・よかった」
あんな『どうしようもない』人たちを追い出して、『王兄』のアルマンさんが王様にされたら困ります。
「じゃあ報告会を始めるわ。長くなるけど、終わったら『お疲れさん』の飲み会をするから」
「料理ならいっぱいありますよ?」
「じゃあ、用意するのは飲み物だけでいいな」
そんな会話から始まった『報告会』は、驚くことばかりでした。
「えー!この国は無くなるのか!」
「そう。『
「こんな国を貰っても、国の利益にならんだろ」
「それなんだがな。エアさんが「なんでこの国の偉い人は神様に謝罪しないのか?」と俺に言っていたんだが・・・。そいつを、エアさんを監禁した連中に実行させた。王城内の神殿で声を出して謝罪させ続けたんだ。「生命を
「ああ。あれは滑稽だった」
思い出したのでしょうか?アルマンさんだけでなく、エリーさんとキッカさんも笑っています。
「エアさん。アルマンにそう言ったんですか」
「はい。『神様の罰』なんだから、神様に謝って許して貰うのが当然でしょう?王様が一番悪いのに、王様ってだけで辛い思いをしないで『関係ない国民が苦しめられる』っておかしいでしょう?お城の中は結構充実してましたよ」
「ああ。エリーに連絡をとってからエアさんと合流したんだがな。結界の中でエリーを待っていたんだが、その時に事情をよく知らんエアさんが、連中の前で『フルーツパフェ』を食ったんだ。・・・あの時の『おかしな顔』を写真で残してくれたんだが・・・。クククッ。あのアホ面、公開すると言ってやったら、神殿でも必死に謝罪してたぞ」
「え?」
「なんだ?」
「これがエアさんに見せた顔?」
最初驚いていた皆さんでしたが、すぐに笑いが広がりました。
「俺はちゃんと「公開する」と言ったぞ。それにひと言も『何かをしたら公開しない』とは言っていない」
アルマンさん。思わせぶりな言葉で、全員を操ったんですね。
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