研究資料17頁目 覇王竜について

【名前】

 ダイノレクス

【種族】

 獣脚種じゅうきゃくしゅ竜脚種りゅうきゃくしゅ

【別名】

 覇王竜はおうりゅう

【生息地】

 タルタ荒野など

【大きさ】

 頭胴長とうどうちょう一五ファルト前後の準大型種

 尻尾の長さを含めると三〇ファルト弱にものぼ

【生態・特徴】

 凶暴な肉食怪物モンスター

 特に決まった縄張りを持っている訳ではない為、同種と遭遇そうぐうしたとしても縄張り争いなどに発展することもない

 色は茶褐色ちゃかっしょくからげ茶色に近い

 嗅覚きゅうかくが非常にすぐれている為、例え獲物えもののがしたとしてもその嗅覚によって得られる追跡能力でどこまでもしつこく追い掛けることが出来る

 小飛竜しょうひりゅうのように肉弾戦がしゅであることから、身体中に傷跡きずあとがありそれが模様もようのように見える

 図体ずうたいの大きさとそれに比例した重量持つ為、俊敏しゅんびんさなどは、あくまでその巨体にしては速い程度で数々の速さを売りにする怪物と比べると遅い。しかし数々の戦いの経験と元々そなわっている本能から繰り出される動きは、攻撃を紙一重かみひとえかわし、カウンターを仕掛けてくるなど変幻自在へんげんじざいな戦い方をする

 体力、生命力に優れ、仮に深手ふかでったとしても死にいたらなければ、数日の休息をて復活出来る

 成体は雌雄しゆう問わずその驚異的な戦闘力と、その地域の生態系の頂点に属していることから『覇王竜』や『暴君』などのあだ名が付けられている

 一方で幼体は身体が弱く、生存率が低い

 怒りなどで興奮状態になると体温が急上昇する上、生息地が荒野や砂漠といった日差しをさえぎる物のない地域であること、そして体表の色も熱を吸収しやすいことから、暑季の頃は熱中症ねっちゅうしょうになりやすく、未熟な幼体の頃はそれで命を落とすことが多い

 寒季にはわざと興奮状態になることで体温を調整しているとされ、寒眠をせずに年中行動している

 このことから、ダイノレクスの産卵期は暑季の終わりから乾季の始め頃で、三ヶ月程経った寒季に孵化ふかするよう調節することで、暑季での熱中症が原因の死亡数を減らす目的があるとされている

 しかし、産まれたばかりの幼体が、えさも少なく体温調節も不得手ふえてな状態で寒季を乗り切ることは厳しく、暑季程ではないにしろ死亡率はそこそこ高い

 成体であっても、体内に熱がもり過ぎると命に関わる為、体温調節として口から炎を吐くことがある。熱だけの放出ではなく、何故炎となるかだが、熱の放出に合わせて、気管などから油分ゆぶんを含んだ体液が分泌され、それが気化した状態のところに引火して口から出ることが、最近の研究で判明した

 この油分を含んだ体液を、熱の放出に合わせて分泌ぶんぴつする理由については、余分な脂肪しぼうを分解し、体外へ排出する目的があるとされる。実際に首回りは弱点になり得ることから活動に支障ない範囲で脂肪をまとうことで防御力を高め、本能による動きも合わさって、鎌足虫かまたりちゅう不意打ふいうちによる切り裂きも致命傷ちめいしょうに至らずに済む。ここから脅威きょういの生命力で復活するのだから恐ろしい

 また、体外への熱の放出は炎のみではないとも研究で明らかにされ、体表にきざまれた数々の傷跡が、微々びびたるものだが熱の放出の助けになっていることが判明した。これによって、成体の熱中症での死亡率の低さがある程度解明かいめいされた形となる

 戦闘時に炎を吐くが、これはあくまで体温調節であり、一度熱を放出したことで一時的に体温が下がるので、次に炎を吐くまで多少時間が掛かることから連続して放つことは出来ない

【素材】

 牙や爪、うろこに骨は武具に用いられる

 特に頭蓋骨ずがいこつはとても硬く頑丈がんじょうな為、防具として重宝ちょうほうされる

 気管支きかんし周りから分泌される揮発性きはつせいの高い油分を含んだ体液は、発火しやすいので取扱とりあつかい注意だが、何らかの燃料などとして活用法があるかもしれない。が、少なくとも魔法薬ポーションの素材にはならない

 その他の部位については、活用法が見出されていない。肉は食べられないこともないが硬く臭い為に好まれていない。そもそも討伐数とうばつすうが少ないので流通量もほとんどないので、口にする機会はないと思われる

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