偽り彼女と誠空
天音
拝啓、××様
拝啓 惜春の候、久しくご無沙汰いたしまして申し訳なく存じております。
貴方がいなくなってから、もう何度目の春を迎えたことでしょう。
時というのは怖いもので、貴方の声、貴方の匂い、貴方の笑顔、今ではもう、はっきりと思い出すことは叶いません。
忘れたくなどないのに、こうして私はいつしか貴方のことを全て忘れ、何事も無かったようにして生きていくのでしょうか。
私にはそれが怖くて仕方がないのです。こんなこと、貴方が聞いたら笑うかもしれませんね。
貴方は今、どこで何をしていますか?
今も何処かであの時と変わらぬ笑顔を見せているのでしょうか。
どうか、私が貴方を忘れてしまう前に、一度だけ。たった一度だけでいいのです。
私に、会いに来てくれませんか?
伝えたいことがあるのです。
あの時、伝えることの出来なかったことが。
敬具
美夜
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