第667話

「ここが戦闘訓練所だ。読んで字のごとく戦闘を訓練する為の施設だな。使い慣れてない武器とかを修練する時に活用したり、他にもモンスターの情報を得たりする事が出来る……って、なぁオレットさん。マジでこんな感じで続けてかないとダメか?」


「えぇ!私のお仕事、手伝ってくれるんですよね?」


「いや、そりゃまぁそうなんだけどさぁ……」


 先輩冒険者としてエルアとクリフが立派な冒険者になれる様に1から指導してって欲しいなんていう依頼をされてしまった俺達は、初心者が利用する様な施設なんかを案内するかって事になったんだが……


「ふふっ、九条さんの言いたい事は分かるよ。2人の実力を知っているから、こんな説明はしなくても良いんじゃないかなって考えているんだろう?」


「あぁ、何度か一緒にダンジョンに行ってボスも討伐してるからなぁ……」


「まぁまぁ、そう言わずにお願いしますよ!2人だって皆さんから色々と教わりたいって思うよね?ねっ?」


「……ふんっ、それは今後の指導次第だな。我にとって不要だと感じればすぐにでも終わりを向ける事になるであろう。」


「あはっ、それって今はまだ指導を続けても良いって事だよね?エルアちゃんも同じって事でいいかな?」


「うん、勿論だよ。確かに僕達は同年代の人達と比べて得てきた戦闘の経験は多いのかもしれないけれど、冒険者としてはまだまだ未熟だからね。むしろこちらの方から指導をお願いしたいと思っていた所だよ」


「……そうなの?」


「はい。皆さんは尊敬出来る先輩冒険者であり、僕達が目指すべき背中でもありますからね。ですので九条さん、今日からご指導よろしくお願いします!」


「お、おう……なんつーか、そこまで言われると流石に照れるんだが……」


「九条透、あんまり調子に乗るんじゃないぞ。貴様の指導が要らないと感じた瞬間、我の中に身を潜めている邪神が目覚める事になるからな!はーっはっはっは!」


「……お前、そっちの方はまだ卒業出来てなかったのね……まぁ良いや、とりあえず見限られない様に精々頑張らせてもらいますよ。」


 コイツの黒歴史が終わりを迎えるのは何時頃になるのか……そんな事を考えながら訓練所を後にした俺達は、他にもある初心者がよく利用する店や施設なんかと次々に説明していった。


「ここは武器防具屋だ。大量生産してる商品を取り扱っている店で、ここで買うのは愛用している装備品が使えない時の代わりだな。」


「……そんな時があるのか?」


「あぁ、武器も防具もずっと使い続けるならメンテナンスをする必要があるんだよ。だからそういう時の為にな。」


「なるほど……あっ、すみません!実は宿屋の利用について質問したい事が……」


 みたいな感じでエルアとクリフ、時々オレットさんから色々な事を聞かれた俺達は自分達が持っている知識をフル活用していくのだった。

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