「あぁもう本当に……何がどうなったらあんな姿で寝る事になるんですか！？」

「いやだから、それについては悪かったって……だけど俺にもその……色々と事情があってだな……」

「だーかーら！その事情が何なのかを教えて下さいって言ってるじゃないですか！」

「うん……まぁそうなんだけどさ……」

　昨夜の事をバカ正直に言う訳にもいかねぇし……そもそもロイドとソフィに背中を流してもらってたなんて説明を皆が居る前で出来ないだろ！？

「はぁ……本当にビックリしたんですからね！ご主人様のあんな姿……もう！」

「はっはっは！確かにマホの悲鳴は凄まじかったのう！まぁ、九条の素っ裸なんぞを見ては驚くのも仕方あるまい！わしも思わず声を上げてしまったからな！」

「も、申し訳ない……」

「そうやって謝るぐらいなら最初からしないで下さい！」

「はい……ごもっともで……」

　脱衣所から持ってきた服のおかげで大事な所はギリギリ隠れてあったらしいが……やっぱり服を着てから気絶するべきだったな……でも、あの時は脳がキャパオーバーしてたから後の事を考えてる余裕なんて微塵もなかったし………つーかだな………！

「……ん？どうしたんだい九条さん、私達に何か言いたい事でもあるのかな？」

「ぐ、ぐぬぬ……！」

　こ、こんにゃろう……！俺に気を遣ってるのか何なのか知らないが、自分達は関係ありませんみたいな表情しながらニヤニヤしやがってぇ……！

　誰のせいでこんな状況に追い込まれてると思ってるんだよ！？少しでも悪いと思うなら助け船の１つでも出して下さいお願いします！

「ご主人様！よそ見をしてないであんな格好で寝ていた理由を説明して下さい！」

「そ、それは……だな………」

「ふふっ、もうそれぐらいで勘弁してあげたらどうだいマホ。」

「ロイドさん！？いえ、でもですね……」

「きっと九条さんも悪気があった訳じゃなくて……無意識的に服を脱いでしまったんじゃないかな。」

「……無意識的、ですか？」

「そう、夢の中で服を脱いだら現実でもそうなってしまっていた……恐らくそんな事じゃないかと思うんだが、どうかな九条さん。」

「あ、あぁ！じ、実はそうなんだよ！は、はははっ！実は、この街の温泉に入る夢を見ちまったんだ！そ、それが理由だな！うん！」

「……それならどうして最初からそう言わなかったんですか？」

「い、いやほら！その……実は温泉って言っても女湯の方にな……そんな夢を見てたなんて流石に言えなくてさ……あっ！言っとくけどお前達は出てこなかったから！！そこは安心してくれて良いぞ！うん！」

　さっきの願いが届いたのか分からないけど、話に割って入ってきたロイドの言葉に思いっきり乗っかる事にしてみたら……

「うーん、ちょっと怪しいですが……そういう事なら分かりました。ですが、今後はこういう事が無い様にして下さいよね！分かりましたか！」

「は、はい！分かりました！」

　ジトッとした目つきのマホに睨まれながら返事をしたその直後、扉がノックされる音が聞こえてきて別部屋に泊まっている３人が訪れた合図が部屋に鳴り響いた。

　その後、挨拶がてら何があったのか簡単に説明したらリリアさんとライルさんには苦笑いを浮かべられてしまい、ユキには嘲笑される事となるのだったとさ……

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