第426話
ちびっ子3人組に雪合戦を挑まれたり、ロイドやソフィに無理やり誘われて上級者コースをやる羽目なったり、最後まで転ばずに滑り切れる様になったアリシアさんとリリアさんの勝負をハラハラしならが見守る事になったりと……
まぁ、それなりに充実した時間を過ごした俺達は真っ白だった雪山が茜色に染まり始めてくると早々にスキー場を後にしてラウザさんの店の前に戻って来ていた。
「九条さん、本日は色々とありがとうございました。おかげ様でどうにかスノードを乗りこなせるまでに至りました。」
「いやいや、アリシアさんが頑張って努力した結果だよ。」
「うむ!何度倒れても立ち上がる姿、立派だったぞ!ただ惜しいのは、魔力を流して加速と減速を行う所までいけんかった事じゃが……それは次の機会がありさえすればどうにかなるじゃろ!」
「えぇ、そうですよね!お姉様、応援していますよ!」
「うん、期待に応えられる様に頑張るわね。それに……リリアさんに負けっぱなし、と言うのも気に入りませんから。」
「おーっほっほっほ!それでしたら、何時でも勝負を挑んで来て下さいませ!私は、逃げも隠れも致しませんわよ!」
「ふんっ、そうやって笑っていられるのも今の内です!必ずや貴女の事を打ち倒し、ロイドさんにも勝ってみせますから待っていて下さいね!」
アリシアさんにビシッと指を突きつけられながらそう宣言されたロイドは、ほんの少しだけ驚いた様な表情をしてみせるとすぐにニコっと笑みを浮かべて……
「あぁ、ライバルとして楽しみにしておくとするよ。」
「っ!え、えぇ!そうしておいて下さい!」
ロイドにライバル宣言されて嬉しさが隠しきれていないアリシアさんを視界の端で捉えていた俺は、目の前で繰り広げられている青春の一幕っぽいキラキラとした空間から今すぐ逃げ出したい衝動に襲われていた訳でして………ははっ………
「お姉様、勝負を挑まれる前にまずはスノードの扱いを覚えないとですよ。」
「うっ、た、確かにそうかもしれないわね……」
「はい!そういう訳ですので九条さん、もしお時間がありましたらお姉様にもう一度スノードの扱い方についてご指導をお願い致しますね!」
「お、おう……分かったよ。」
「ありがとうございます!それでは明日にでも……って、それはダメでしたね。」
「うん。明日は私達とクエストに行く約束。」
「今日はずっとアリシアさんに付きっ切りだったからね。それにスノードを使っての戦闘も経験しておきたい所だから、九条さんを貸してあげる訳にはいかないかな。」
「……俺はお前達の所有物ではないんだがな……」
「はっはっは!似た様なもんじゃろう!それよりも九条、わしは腹が減ったぞ!早く街に戻って晩飯を食べに行こうではないか!」
「はぁ……ったく、お前はどんだけ食い意地が張ってんだよ?まぁ、俺も腹が減ってきてるからゴチャゴチャ言えないんだけどさ。」
「そうですねぇ、今日はいっぱい動いたからお腹がペコペコです!」
「ふふっ、それではそろそろ解散しようか。アリシアさん、シアン、また次の機会に会えるのを楽しみにしているよ。」
「おーっほっほっほ!今度会う日までにスノードの扱いが少しでも上手くなっている事を祈っておりますわよ!」
「ぐ、ぐぬぬ……!」
「もう、リリアさんったら……すみません、それでは失礼します。」
「アリシアさん!シアンちゃん!またお会いしましょう!」
「ばいばい。」
「それではのう、元気にしておるんじゃぞ。」
「それじゃあな。」
アリシアさんとシアンに見送られながらその場を後にして街まで戻って来た俺達は大通りにある飲食店で晩飯を済ませると、宿屋まで戻って行くのだった。
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