第410話
ノルウィンドの街を離れて雲1つ無い綺麗な青空と幻想的で美しい雪原が見渡せる場所までやって来た俺とソフィが、現在何をしているのかと言うと……!
「あぁクソっ!!図体がデカい癖にどんだけ逃げ回る気なんだこのモンスターは!?攻撃してきたと思ったらすぐに雪の中に消えやがって!マジで辺り一面を焼け野原に変えてやろうかこの野郎!!」
(ダ、ダメですよご主人様!そんな事をしたら罰金を払ってもらいますって斡旋所で言われたじゃないですか!)
「マホの言う通り。落ち着いて九条さん。残りは1匹、焦らずに戦えば大丈夫。」
「そう言うがなぁ……うおっ!?」
「フッ!!」
深く積もった雪の中から飛び出す様にして襲い掛かって来たウサギとキツネを合成した見た目をしている全身が真っ白なモンスターの攻撃を間一髪の所で躱した瞬間、ソフィが両手に構えていた武器の片方をソイツに向かって素早く投げ飛ばした!
(ご主人様!今です!)
「あぁ分かってるよっと!」
横っ腹にショートブレードが突き刺さり雪を赤く染め上げながら地面にぶっ倒れたモンスターが逃げ出そうとしてる姿を見てすぐに体勢を立て直した俺は、思いっきり地面をぶっ叩いて奴の真下に魔方陣を展開して圧縮した空気を撃ち出してやった!
身動き一つ取れずソレにぶち当たったモンスターが上空に吹き飛んで行った直後、こっちを見ていたソフィに対して俺が視線で合図を送ってやると……!
「フッ!」
右手に持っている武器を握り締めながら短く息を吐き出したソフィは地面を蹴って大量の雪を舞い上げながら空に飛び上がって行き一瞬でモンスターに止めを刺すと、主人公の様な格好良さで華麗に降りて来るのだった。
(ご主人様、一番良い所をソフィさんに取られちゃいましたね。)
(……別に、クエストを無事に達成出来りゃそれで構わん。それよりも……ロイド、こっちは終わったがそっちはどんな状況だ?)
(ん?九条さんか。こっちも丁度終わった所だよ。中々に手強い相手だったけれど、リリアとライルが一緒だったからすんなりと倒す事が出来たよ。)
(そうか、なら良かった。それじゃあ引き続き素材集めをするとしますかね。)
(あぁ、お互いに頑張ろう。それではまた後で。)
その言葉を合図にしてロイドとの会話を終わらせた後、俺はソフィと一緒にさっき倒したモンスター達の納品作業に取り掛かり始めたのだが……
「そう言えば、レミの奴は何処に行ったんだ?さっきから姿がってぇ!?」
「はっはっは!九条よ、戦闘が終わったからと言って油断しすぎではないか?こんな雪玉1つ避けられぬとは情けない奴じゃなぁ!ほれほれ!」
「ちょっ!?おまっ、こっちは動きっぱなしで疲れてんのにふざけんなよ!?って、ソフィさん?!雪玉を両手に構えて何をしようとしてるんですかね!?」
「……雪当てっ!」
「うおっほ!?あっぶねぇな!つーか剛速球を投げて来るんじゃねぇよ!当たったらどうするつもりだこんにゃろう?!」
「おぉ!コレは良い、ソフィ!わしと協力して九条を打ち倒すぞ!」
「うん、任せて……!」
「お、おいおい……何をやる気に満ち溢れてやがるんだ!?ま、待て!流石に2人で襲い掛かって来るのは卑怯だろ!?」
「大丈夫ですよご主人様!私が助っ人としてやって来ましたから!」
「マホ!?お前、こんな誰が見てるかも分からない場所で!」
「大丈夫です!周囲に人が居ない事は確認済みです!それよりもご主人様!お2人が来ますよ!急いで反撃の用意を!この勝負、負けられませんよ!」
「えぇ?!コレって勝負だったのか!?ってか……あぁもう、しょうがねぇな!一戦だけなら付き合ってやる!でも、終わったら素材集めに戻るからな!」
「はい!」
「はっはっは!覚悟するが良い!敗者になったら勝者にお菓子をご馳走じゃぞ!」
「上等だよ!どうせやるなら絶対に勝ってやるからな!」
「……負けない。」
それからまぁ、何と言うか……俺は年甲斐もなく雪合戦を楽しんでしまい、体力を無駄に消耗しながらも頑張って素材を集めて行くのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます