第403話
エリオさんが予約してくれた宿屋で夜を明かして朝食を食べ終えた俺達は、受付の前に集まって買い物する組と闘技場に行く組で二手に分かれていたんだが……
「それでは皆さん、私達はお買い物に行ってきますね!それとおじさん、くれぐれも1人きりにならないで下さいよ!」
「ソフィ、ライル、すまないが九条さんの事を頼んだよ。」
「うん、任せて。」
「が、頑張ります!」
「……なぁ、俺っていい歳したおっさんで小さい子供じゃないんだが。」
「はっはっは、目を離せないという点では似た様なもんじゃろ!観念して2人と共に行動するんじゃな!」
「はぁ……笑い事じゃねぇっての……」
マホとロイドめ……確かに俺は厄介事に巻き込まれやすいのかもしれないけどさ、だからってライルさんをこっちに寄こす必要はないんじゃないんですかね!?
まぁ、頼まれた本人はノルウィンドでロイドと2人っきりでお買い物が出来るって喜んでいるみたいだから文句は言えないんだけどさ……流石に心配しすぎじゃね?
「九条様は瀕死の状態で病院に運び込まれてから3日間も意識が戻らなかったので、お2人がご心配なさるのも無理ない事ではありませんか。」
「そうです!仕方ありません!」
「いやいや、あんな事はそう簡単に起こらねぇよ。しかもこんな街のど真ん中で。」
「私達もそう思うよ。だが、少しでも可能性があるなら九条さんを1人にする訳にはいかないよ。また単独で無茶をして、大怪我を追われてしまっては困るからね。」
「うむ、その通りじゃな!」
「もう、うむじゃありませんよ!レミさんも私達から離れないで下さいね!」
「う、うむ……やれやれ、わしも九条と同じ扱いとは……」
「おい、そんな不服そうな顔をするんじゃない。少しだけ傷つくだろうが。」
今にも舌打ちしそうなレミの頭部にチョップでもくれてやろうかと思っていると、楽しそうな声と共に沢山の人が階段の上から降りて来る姿が視線に入って来た。
「おっと、そろそろ移動を始めないと他のお客さんに迷惑になってしまうね。」
「そうみたいだな。そんじゃあ、そろそろ出るとするか。」
「はい!えっと、お昼は別々で晩御飯は皆で一緒に食べるんでしたよね!」
「えぇ、陽が暮れ出したらまたこの場所に集合ですわ!皆様、遅くならない様に気を付けて下さいませ。」
「あぁ、そっちもな。買い物が楽しすぎて遅刻するとか勘弁してくれよ。」
「ふふっ、分かっているよ。それでは、また後で。」
「おじさん!ガドルさんとサラさんに会えたらよろしくお願いしますね!」
「おう、手土産だろ。忘れずに持ってくから心配すんな。」
そんなやり取りをした後に宿屋の前で買い物に向かった皆と別れた俺達は、道中でソフィの意見も参考にしながら菓子を購入して闘技場に向かって行くのだった。
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