第339話
「仮面のメイド!俺が前に出るからお前は援護を頼む!」
「えぇ、任せてちょうだい。」
無数の小型ナイフと鋼鉄のワイヤーを構えた仮面のメイドをその場に待機をさせて全身に風を
その直後にジョッシュは四肢に力をグッと込めて勢いよく飛び上がると口を大きく開けて俺に襲い掛かってきやがった!
「ふっ!」
入れ違う様にジョッシュの下を潜り抜けて振り返りながら体勢を立て直した俺は、爪を立てながら振り上げられたジョッシュの右手と刃を交わしてソレを受け止めると受け流す様にして下方向に払うと少しだけ後ろに身を引いてから反撃を始めた!
「ハァッ!」
まずは目の前にある右腕を斬り落とそうとして刀を振り下ろした俺だったが、その攻撃は素早い身のこなしでアッサリと躱されてしまいジョッシュはお返しとばかりに左腕を振り下ろそうとしてきやがった!
反射的にその攻撃を防ごうと刀を横にして顔の前に持ってきた次の瞬間、後方からワイヤーが飛んで来てジョッシュの左腕を何重にもして絡め取るとそのまま氷漬けにしていくのだった!
「九条さん!」
「あぁ!分かってる!」
突然の事に驚いて動きを止めたジョッシュのがら空きになった腹部が視界に入ってきた直後、俺は刀を横向きにしたまま右腰の辺りにまで下ろすと一歩前に踏み出して横一線に斬り付けてやった!
しかし刃が当たったと思ったその時、ジョッシュは地面を思いっきり蹴り飛ばして天井に向かって飛び上がると器用に半身を捻りながら部屋の奥で着地をしてまたもや俺達を睨みつけてくるのだった。
「あらあら、まさかあの状態から逃げ出すなんて驚きね。」
「そうだな……よしっ、それじゃあこのままの勢いで決着を……って、何ッ!?」
更なる攻撃を仕掛けようとして隣にやってきた仮面のメイドから目を逸らしたその直後、ジョッシュが氷漬けにされた左腕に勢いよく噛みつくと不快な音を立てながら引き千切っている光景が視界に飛び込んできた!?
ソレを目にして思わず呆気にとられていると、ジョッシュの奴は切り取った右腕を地面の上に投げ捨てて血が溢れ出してる場所を押さえながら叫び声をあげ……っ?!
「へぇ、失った部位を再生させる能力があるなんて……凄いわね、彼。」
「感心している場合かよ!?それよりもう一度仕掛けるから、援護を頼むぞ!」
「えぇ、了解したわ。」
仮面のメイドの返事を聞いて刀を構え直した俺は再びジョッシュに攻撃をする為に突っ走って行ったんだが……
「やっべ!?」
失われていた右腕が元に戻ったのを視認したその瞬間、ジョッシュからさっきまでとは比べ物にならないぐらいの殺意を感じた俺は反射的に防御の構えを取っていた!
「ぐっ、うっ!」
そうしたら明らかに重さも威力も段違いになった一撃が上空から振り下ろされて、俺はうめき声をあげながら全身が軋む様な痛みに襲われるのだった!
って言うかマジかよコレ冗談だろ?!コレってもしかしてアレなのか?再生したらパワーアップするとかそういう系か!?おいおいふざけてんじゃねぇよ!それじゃあ攻撃すればするだけこっちが不利になっちまうだろうがよ!
歯を食いしばってジョッシュの左腕を押し返そうとしながらそんな事を考えていたその時、隙だらけになってしまっている俺を狙って鋭い爪が飛び出ている奴の右腕が凄まじい勢いで襲い掛かってきた!?
「させないわ!」
仮面のメイドの声が後ろから聞こえてきた直後、幾つもの小型ナイフが飛んで来てジョッシュの右腕に連続して突き刺さっていった!
痛みに耐えかねて奴が叫び声をあげて仰け反ってくれたおかげで一瞬だけ身動きが取れる様になった俺は頭上にあった左腕を払って地面に落とすと、ソレを足場にして奴の体を掛け上がって行くと天井に向かって伸びている右腕を斬り飛ばしてやった!
そしてそのまま上空で体勢を立て直して刀を振り上げた俺は、ジョッシュの胴体を目掛けて落下していった!
「チィ!」
しかしその斬撃はジョッシュの左手から伸びた鋭くて大きな爪に防がれてしまい、空中で動きが止まってしまった俺は奴の腕に振り払われてしまい仮面のメイドが待機していた扉の近くまで吹き飛ばされる事になってしまった!
刃を床に突き刺しながら勢いを殺してすぐに顔を上げて目の前を見てみると、奴はさっきと同じ様に叫び声をあげながら右腕を再生させやがった!
「ふぅ、このままだと少しマズいわね。」
「クソっ、片腕一本でもヤバいってのに……!」
「九条さん、私が彼を止めるからその隙に仕留めてくれるかしら。」
「止めるったって……そんなのどうやって?!」
「うふふ、決まってるじゃない……フッ!」
「あっ、おい待て!」
短く息を吐き出した仮面のメイドは何処からともなく取り出した小型ナイフを奴に向かって投げつけた後ですぐに鋼鉄のワイヤーに持ち替えると、瞬く間に強烈な風を纏うと俺が止めるのも聞かずジョッシュに向かって走り出してしまった!
慌てて後を追いかけようとしたがそれよりも早くジョッシュがナイフを
「あらあら、そんな攻撃で私を捕らえようなんて甘いんじゃないかしら!」
余裕すら感じる口調でそんな事を言いながらジョッシュが振り下ろして来る両腕を軽い身のこなしで
「俺の出番……終わった感じ?」
手助けに行きたいけど攻防が激しすぎてアイツの邪魔は出来ないし……これはもう援護に回って決着を付けてもらうしかない様な気が……
なんて考えていたらいきなりブチンブチンッと何かが切れる様な音が聞こえてきて反射的に真正面を目にした次の瞬間、いつの間にか自由を取り戻してたジョッシュが腕に絡んでいたワイヤーを利用してっ!?
「仮面のメイドっ!」
ドガァンッ!というバカでかい音と部屋に舞い上がった土埃に驚きながら顔の前にやってた両腕を下げた俺は、空中に投げ出された勢いで壁に叩きつけられてしまった仮面のメイドに向かって叫ぶ様にして呼びかけた……
その直後、ダダダンッと床を蹴る音が聞こえてきたと思ったら土埃の向こう側から姿を現したジョッシュが殺傷能力が増してる鋭くて巨大な爪を使って攻撃を仕掛けてきやがった!
「うおっ!?」
防御するのはマズいと判断した俺は急いで左横に転がって攻撃を避けると、すぐに刀を構え直してジョッシュに向かって行き振り下ろされて隙だらけになってる右腕を横一線に斬ろうとした!
だがその直前にジョッシュはその場で半回転して俺の方に向き直ると右腕を上げて側面から殴り掛かって来た!
こっちの攻撃が間に合わないと思って即座に刀を縦にしてジョッシュの巨大な爪が刺さらない様にはしたんだが、ぶち当たった腕の威力が凄まじすぎて俺の体は上空に吹き飛ばされていた!
「ぐうっ!」
全身を襲ってきた痛みを歯を食いしばって耐えながら滑る様にして何とか倒れずに着地が出来た俺は、こっちに突っ込んで来ているジョッシュを眼前に捉えると左手を奴に向けて真正面に大量の魔方陣を出現させてそこから石槍を射出していった!
予想していた通りこの攻撃が当たる事が無かったがジョッシュを逃げ場のない壁際まで追い詰める事に成功した俺は奴が飛んで行った先の地面に魔方陣を出現させて、そこから巨大な石槍を出して奴の胴体を貫こうとしたのだが……!
「チッ!アイツ壁まで走れんのかよ!?」
まさかの行動のせいで俺の魔法が外れてしまったその直後、奴は壁を抉りながらグルっと部屋の中を回って上の方から大きな口を開けて飛び掛かって来やがった!
俺はその瞬間にジョッシュに向かって走り出すと隙だらけになってる腹部を狙って刀を突き刺そうとしたのだが、奴は空中で体を捻って攻撃を
「クソっ!時間が無いってのに逃げ回りやがって!」
このままだと薬の効果が切れて最悪の展開に……だけど、こっちから仕掛けるのは分が悪すぎるし……それに吹き飛ばされちまったアイツも早く助けて……はっ?
「ア、アイツ……何処に消えた?!」
ジョッシュのせいでボロボロと崩れ落ちている壁が仮面のメイドに当たらないかと心配になってアイツが吹き飛ばされた先に目を向けてみたんだが、そこには誰の姿も存在していなかった?!
「うふふ、彼の注意を引き付けてくれてありがとうね九条さん。これで……ようやく決着を付ける事が出来るわ。」
「うぇっ!?」
何処からともなく聞こえてきた仮面のメイドの声に驚いてしまったその直後、壁を蹴ったジョッシュが再び大きな口を開けながら鋭い爪を突き刺そうとして突っ込んで来やがった!?
「あっ、ちょっ!ひいぃぃぃぃ!!!!」
ヤバいと思ってすぐに横方向に逃げようとしたんだが、それを邪魔するかのように上空から小型ナイフが大量に降ってきたせいで逃げ場を失ってしまった俺は情けない叫び声をあげながらジョッシュの真下に無様に転がり込んでいくのだった!
そしてギリギリ攻撃を躱せた次の瞬間、背後から大きなものが地面にぶつかる様な音が響いてきて頭を両手で抱えながら地面に倒れてた俺は何が起きたのかと不思議に思ってゆっくりと顔をそっちの方に向けてみるとそこには………
「こ、これは……どうなってんだ……?」
震える声でそう呟きながら立ち上がった俺の視界には、長い手足が氷漬けにされて身動きが取れずに暴れ回っているジョッシュの姿が映し出されていた。
「ふぅ、これで少しの間は動きは封じる事が出来るわね。」
「うおっ!?お、おまっ!ど、何処から……」
「うふふ、そんな事よりも早く止めを刺した方が良いんじゃないかしら。残り時間、そんなに無いと思うわよ。」
「っ!?それもそうだった!」
いつの間にか隣に立っていた仮面のメイドから目を逸らして刀を構え直した俺は、息を荒げながら殺気立った視線を送ってくるジョッシュと数秒だけ睨み合うと………全身に激しい風を纏って身を低くしながら奴に向かって突っ込んでいった!
そしてジョッシュも巨大な氷の塊となった手で俺を叩き潰そうとしてきたんだが、これまで得てきた戦闘経験のおかげでどうすれば無駄なくギリギリで避けられるのか見極められる様になっていた俺は紙一重で振り下ろされた奴の両腕を
「っらぁ!」
そのまま奴の体の下に潜り込んで行ってグッと左足を前にして踏み込むと構えてた刀をジョッシュの左胸に深々と突き刺していった!
「これで……終わりだ……!」
頭上から小さな断末魔が聞こえてきた直後に刀を引き抜いて後ろに下がった俺は、紅く染まった刀を一振りしてからゆっくりと倒れて行くジョッシュの姿をしっかりと目に焼き付けた……それからしばらくして、ずっと鳴り続けていた鐘の音は少しずつ聞こえなくなっていき……玉座の間には静寂が訪れる事になるのだった……
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