「アフター4話」
リタさんの後を追い、倉庫へと向かう。
狭い倉庫の中、リタさんと二人……何も起きないわけがなく。
「まずはお金ですね。ウッドさんに量産頂いたバリスタと矢の代金、モンスターの魔石……それと桃は秘薬の半額で計算しています……額はこちらになります」
「あ……はい、大丈夫です」
嘘です。
倉庫めっちゃ広いし、他に人もいます。ちょっと見え張りたかった?だけなんです!!
あと代金やべえ、桁が想像より二つ多い。
こんなん絶対使いきれないやつや。
俺が額を確認すると、リタさんは何やら包みを取り出した。
中身は……なんだろうな?俺の腕ぐらいありそうな感じだけど……。
「それと……指導者からのドロップ品、こちらを受け取ってください」
え゛?
「え、いやいやいや……それはさすがに……まさか呪われてる系ですか?」
なんで俺が……このパターン前にもあったぞ!触手の時だ!
確かあの時はつけると皮膚と一体化するってんで、俺の兜に引っ付けたんだった。
……こいつもそのパターンか!?騙されんぞっ。
「呪われてはいませんよ。ちゃんと外せます……皮膚毎になるかと思いますが」
「またかいっ」
ダメじゃねーかっ!!?
皆俺のことを何だと思ってるの??皮膚剥がれたら俺だって痛いんだかんねっ!
「こちらがそのドロップ品です」
「腕?筒?……あ、これ何か撃ちだしてたやつです?」
ドロップ品には見覚えがあった。
あれだ、弾撃ちだしてたやつだよ。
俺の触手とか色々吹っ飛ばして、石壁に大穴あけたやつ。
「はい、そうです。ギルドで鑑定した結果、これを身に着けることで指導者が行っていた遠距離攻撃を使えるようになります」
「っへー!」
そりゃすごい。
触手もかなり有用だったけど、これもかなりよさそうな気がする。
気がするんだけど……。
「ただし、肉体と同化しますので……ウッドさんの右半身であれば、あまり目立たずに使えるのではないかと」
「なるほど……」
あれか、指導者のドロップ品てみんなこうなのか?
触手も同化するパターンだったし……結局受け取ってしまったけれど、どうしようか悩む。
前と違ってこいつを付けられるところなんて、右腕ぐらいしかない。
兜に着けたときと違って、この場合は俺の体と同化することになるんだよなあ……悩む。
「つけると良いニャー」
「えっ……タマさんまじで?何か対策あるんです?」
俺がうんうんと悩んでいると、タマさんがあっさり付ければ良いと言ってきた。
こうあっさり言うということは、何か考えがあるのだろうか。
「まじニャ。右上でなら最悪切り落とせば良いニャー」
「あ、はい、そっすね……」
タマさんそれはちょっちバイオレンス過ぎやしませんかねえ?俺の気のせいかなっ??
てかそれ言ったらゴリさんたちもだけどなっ。
この世界の住民バイオレンスすぎんよー。
「皆が無事だったのはウッドのおかげニャ。だからウッドがつけるべきニャ」
「タマさん……分かったす。俺、つけます!」
こう……ドロップ品を持つ俺の手にそっとタマさんの前足が添えられ……そんな状態でタマさんにそこまで言われちゃしょうがあるまい。
つけるっきゃないでしょ!あ、タマさんもう少しだけそのままでお願いしゃす。ぐへへ。
「地味にいったああああい!!!」
「ニャ」
つけたけどくっそ痛い!!
腕に何かが侵入して、じわじわ浸食される感じがやっばい。てか痛い、まじで痛い!
足つった時より痛い。
「ひぃ、ふぅー、ひぃい……あ、おさまった」
「ニャ。試し撃ちに行くニャー」
くっそ痛かったけど、ある時を境にふっと痛みが消える。
違和感は……とりあえずは無い、かな?腕の感覚がないとか、勝手に動くとかもない。
もしそんなんなったら速攻で切り落とさないといけなかったから、そこは助かった。
って、タマさんそんなシュタタタッて居なくならんでも……置いてかないでっ。
タマさんの後をついていくと、どうも向かう先が……うん、これ町の外に向かってるな。
ダンジョンじゃないぞ。
「……あ、ダンジョンじゃないんだ?」
「深くまで潜るの面倒ニャ。……あれに撃つニャ」
「あれって確か防衛の時の……」
町の外に出て、タマさんが指示した先にあったのは、キンバリーさんが作った防衛用に作った石壁……その一部であった。
一部と言っても元は町をぐるっと囲う石壁だからね、かなりでかい。
でかすぎて1年経った今でも全部は撤去しきれてなかったのか。
……確かこれって指導者の砲撃も2発ぐらいは耐えていたと思った。
それと比較すれば俺の砲撃の威力がどんなもんかも分かるって算段だね。タマさんあったまいー。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます