第115話 「114話」

えー……体をギュッとしたらすっかりスリムになってしまった……。

とりあえず倒した証拠ってことで街に持って行きますか。



「門のとこに居るのさっきのおじさんかな?」


「ニャ」


街に戻ったらおじさんが門で待っていた。

心配してたんだろうか? 俺たちは無事ですぞっと。

それにお土産もあるんですよ、お土産。おじさん、お土産ですよー?


「あ、ああありがとう……ござい、ました……その、これはお礼です……」


「ありがとうございます。 それじゃ俺たち戻らないとなのでー……あ、ちゃん死んでるので大丈夫ですよ?」


やだおじさんてば顔色真っ青。

ご安心を、もう死んでますよ?動き出さないので安心してね。

これで動き出したらホラーですわ。



んで、お礼といって袋貰ったけど……おお!お金びっちり詰まっておる。

これ依頼用のお金全部くれたんじゃなかろうか。やったぜ。


まあ、別にそんなお礼なんて良いんだけどね。

でもここで貰っておかないと後でこの街で依頼受けた人がさ、前はタダでやってくれたのにっ!とか言われても困るしね?


俺はその辺ちゃんと考えてるのですよ!ふふふ。



さーって、お酒持って帰って明日の準備しよっと。

明日はBBQだぞー!






んで翌日。

寒空の下、BBQを無事開催することができました。


料理は最初に仕込みはタマさんがやって、それを食い切ったら各自好きに焼くことにしたよ。

俺でも焼くだけなら出来るしね。


んで寒さの方は問題なかったです。

寒いには寒いんだけど、大した気にならないというか……まあ、大丈夫だった。

ゴリさんとか酒飲んで肉食ったら上着脱ぎ始めたし。


暑いのはダメだったんだけどねー、じめじめしてて……たぶん湿度が低ければ何ともなかったとは思う。暑い寒いは平気だけど、不快なのはダメなんだろう。



お酒も足りてそうでよかった。

皆お酒飲んで良い感じでテンション上がってくれてるので、会話も盛り上がるし……うん、良い感じですわ。


今はちょっとお腹きつくなってきたので自作の椅子に腰掛けながらゴリさんと駄弁っているところだ。


あ、椅子はね根っこを伸ばす要領でそれっぽいの作ってみたんだ。

室内用の椅子は有るんだけど、室外用のは買うの忘れててね。


根っこを千切るときちょっと痛いけど、そこだけガマンすれば問題なし。




「そりゃ引くに決まってるだろうが」


「あ、そうなんです……?」


ゴリさんとの会話の中で、酒を買いに行った先で起きた出来事を話してみたんだけどー……呆れた顔でため息つかれたぞう。


「ダンジョンシーカーでもなければモンスターなんてまず見ることはないし、それにお前……潰れてぐっちゃぐちゃの死体なんて見慣れてても引くわ」


……うん、言われてみれば確かに。


基本ダンジョン潜らないとモンスター居ないしねえ。

指導者が率いた場合は別だけど、あんなのしょっちゅう有るわけじゃないし、世界樹がある以上は普通に暮らしている人がモンスターを見る事なんて一生に一度有るかどうかと言ったところなんじゃないかな。さらにスプラッターとなると余計だ。


見慣れすぎてて感覚麻痺しちゃってた。 おじさんめんご!



しっかし世界樹ってすごいよね。 あれがあるだけでモンスター寄ってこないみたいだしー……そういやなんで寄ってこないんだろうね?


「そういえば前から気になっていたんですけど、なんで世界樹の近くにモンスター寄って来ないんですかねー?」


「そんなん俺が知っている訳ないだろ。 世界樹に聞け、世界樹に」


いや、半分木の俺ですけど無理デスヨ?


「いやー、俺でもさすがにそれは……ん? ハナどうした? 種欲しいの? 別にいいけど」


なんてゴリさんと話していると横からにょきっとハナの鼻が……ハナの、鼻が、伸びてきたぞう!



ごめん。


なんかさっき食べた桃の種が欲しそうなのであげてみる。

どうするんだろね、中身でも食べるのかな?


梅干しとか種の中身食えたけど桃ってどうなんだろうね?


「種植えてるのか」


「育てる気なんですかねー。 この家を選んだのもハナだし、最初からそのつもりだったのかも?」


数日前から牙で地面を掘りまくってたハナ。

どうやら種を埋めるために良い感じの土にしていたらしい……のかな?


森に住んでたんだし、木とかが恋しくなったのかねー。


良い感じに育ったら桃でも一緒に食べようかな。



「ほー……だが育てても実はならないと思うぞ?」


「ん? そうなんですか?」


ぬ?そうなの……ってなんか前にもこんな話を聞いたことが有るような無いような。


「世界樹の近くじゃ甘いものは育たないからな」


あー、タマさんに聞いたあれか!


「へー……世界樹が嫉妬しているとかいうやつですか?」


「そう言う説もあるっちゃあるが……世界樹が実を作るのに何かが必要で、その何かを世界樹が吸い取るから甘いものが育たないって話が有力らしいが……まあぶっちゃけ良く分かってない」


良く分かってないんかーい。

何かって何さ、何かって。


てか世界樹の実ねえ……俺のより美味しいんかね?


「世界樹って実をつけるんすねえ」


「ああ……そういやお前は忘れているか。 世界樹と共に指導者率いるモンスターの群れと戦う場合、戦闘後に世界樹が実をつけるんだよ。 かなり美味いし、そのうえどんな重傷でも一発で治るっておまけ付き……いや、どっちかと言うとそっちがメインか?」


そういえば記憶があれだって設定でした!

てか世界樹の実! 俺のと被ってるじゃん。こんちきしょーめ。


しかも一緒に戦うとか……戦う? 木がどうやって……?


「ほへー……ん? 世界樹と共に戦うって……世界樹も攻撃したりするんです?」


俺みたいに根っことか蔦伸ばすんですかね……やだ、被りすぎぃ。


「ああ、世界樹の規模によるがな。世界樹自体が攻撃に参加することもある……参加しなかったとしても世界樹のそばで戦闘するとモンスターにデバフ掛かるみたいでな、大分戦闘が楽になるんだ」


「なんかすごいっすね」


まあ、世界樹がすごいってのは分かった。

ここで暮らす人々には無くては張らない存在だろうし……俺も大事にしないといけないね。

指導者が出たときには身を張ってでも――。


「そろそろ暗くなってきたな。 片付け始めねえとな……ま、続きは中でだな」


「――うっす。 片付けちゃいましょ。 部屋むっちゃ余ってるんで泊まっていっても良いっすよー」


「おうよ。酔いつぶれたら頼むわ」


さ、片付けて二次会開始するぞー!

言質もとったし酔いつぶしてくれるっ。





リタさん含めて結局朝までオールで飲み続けましたとさ。しってた!!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る