探り合い{済}

 ネフロスとラゴスは、ガディスを警戒し睨み付けていた。


 片やガディスは、涼香たちを庇うように身構えている。


(さて、どうする?見ていられず出て来てしまったが……)


 ガディスはそう考えていた。


 涼香たちは、なぜガディスが助けてくれたのか不思議に思った。


「ルトルシニア国の四天王が、なんで俺たちを助けるんだ?」


「さあな。ただ言えることは……。コイツらに、お前たちのことが知られると厄介だからだ」


「それって、どういう事なの?」


「その話はあとだ⁉︎お前たちは、コイツらからどう逃げるかを考えろ。その間、俺が足止めをしておく」


(ん?んーこの女。思っていたよりも、なかなかいい声をしているな。

 あー俺はこんな時に、なにを考えている。集中しなければいけないというのに)


 するとネフロスとラゴスとゴルボラは、ガディスと涼香たちを囲い込むようにジリジリと詰め寄ってきた。


「ガディス。この件から手を引け。そうすれば見逃してやっても構わない」


「ネフロス。それは、俺の性格を知っていて言っているのか?」


「フッ。さあな。だが、ガディス。なぜだ⁉︎こんなドラゴナードなどに手を貸して、なんのメリットがある?」


 ガディスとネフロスは、互いに腹の探り合いをしている。


 ラゴスはその話を聞き、ふとあることに気づいた。


「ネフロス。そういえばさっき。ガディスが不思議なことを口にしていた。確か……。僕たちになにかを知られたらまずい的なことをね」


 そう言いラゴスは、涼香たちを見まわしたあと、ガディスの方へと顔を向ける。


「そういえば、そう言っていたな。ガディス。そいつらのことについて、なにを隠している」


 ネフロスはガディスに視線を向けると、ゴルボラが言っていたことを思い出した。


「ん?ちょっと待て。ゴルボラ。確かドラゴナードが、龍がいないというのに魔法を使ったと言っていたな」


「はい。ネフロス様。確かに使っていました。ドラゴナードの者は龍が側にいなければ、魔法が使えないはずなのですが」

 

 それを聞きラゴスは、もしやと思いネフロスに耳打ちをした。


「確かに、おかしいよねぇ。なんで魔法が使えたのかな?」


 そう言いラゴスは瞬時に涼香に近づき、右手を伸ばしフードに手をかけようとする。


 すると要とガディスが即座に反応し、ラゴスの右手をおさえる。


 しかしネフロスがその隙をつき、反対側から涼香に近づいた。


 要とガディスが涼香の方を見ると、ネフロスは既に右手を伸ばし涼香のフードに手をかけていた。


 それを見たクルテルは、ネフロスめがけ魔法を放とうとするもゴルボラにおさえ込まれる。


 するとネフロスは涼香のフードを取った。


 そして涼香はまずいと思い、両手で頭を覆いながら下を向きその場に座り込んだ。

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