アンノン

闇もなく 光もなく

ただ、風が吹くだけ 白い部屋


見上げると グレーの空

日と雲の境も見えない

埃色のレースカーテンは閉めたままに



視界の隅に見える

鼠色の床と褪せたおもちゃ



扉はない

ひとり、止まった時を抱える

開かない窓をそっと覗くと

にぎやかで静かに 耳鳴りすら  とおくて



この、灰色の部屋の中

むかしむかし、

ほんの少しかじった甘い味

胃の中で転がせば

知らない場所へ消えていく



灰色のレースカーテンにくるまれた部屋がある

ただ、あるだけ

ここに、あるだけ

何の意味もない、何の、意味もみつからない。

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