シルフィクロニクル

にぃつな

テスト

「それは俺のものだ!」

「いーやーぼくのだ!」


 KとTが鉄を求めて争っていた。

 モンスターを撃破し、運よく鉄をゲットしたのだが、どちらが手に入れたのかともめているのだ。


 ちょうど二人は装備品を作成するのに鉄が必要で、互いに譲りあうまではいかなかった。


「俺が止めを入れたんだ、俺に権利がある」


 こう主張するK。

 Kは渾身の一撃をモンスターの頭部に仕留め、倒しているのはこの目で見ている。


「いや、ダメージ的にぼくのほうが上だった」


 Kはトドメを狙って待機していた。その間、凹スカと攻撃を入れていたのはTだ。ダメージ計算ではTの方が上だが、キャラクターの攻撃力はKの方が上で、モンスターがどこまで減って倒れたのかは計算できない。


 こんなことで、喧嘩していたら夜になってしまう。


「チームワークの欠如だ」


 赤の他人のようにモンスターを倒しては素材を回収していたSが言った。Sはこのパーティ中もっともキレる。


「二人の喧嘩を止めれば解決だろ、ほれ」


 次の瞬間、Sが二人の前に鉄を放り出した。

 ここに来る前に偶然拾った鉄である。


「仲良く分けろよ」


 二人の喧嘩はピタリと止まった。

 TとKは互いに見合って、Sにお礼を言った。


 さすが、Sだ。

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