それを人生だと言われたけれど

積み上げられた段ボールは引っ越しの証

買い物途中の選挙看板は時間の経過

流行りものの音楽の話題が消える月日

飽きてログインもしなくなったゲームは心の諦め

昔を思い出せないのは嫌な記憶だったはず

それでも綺麗な話をたくさん読んだ

今でも思い出せるほどに読んだ

ああ、無意識に我儘をついていた日が妬ましい

呪いのように身体中を這いまわる

何も知っているつもりが何も知らなかった

恨めしい日々

これから知っていけばいいと言われた

もう教えてくれる人はいない

教えてくれるだろう人は信用も信頼も尊敬もできない

縁とはなんだったんだろう

大事だと言っていた、あの人は色んなものを隠して死んだ

大切だと言っていた、あの人は色んなものを隠して呆けてる

その大事が、その大切が身体を蝕んでいく

後悔させる、後悔させる、殺されていく

いつか乗り越えられると言われた日

心は静かなまま「そうですね」と言っていた

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