何度も何度も

 わたくしは臆病者でございます。

 人前に出る勇気など持ち合わせず、口から音を発する器官がありません。

 すべての目に晒されるくらいならば、崖から身を投げようと思います。

 しかし、臆病者でございますから、崖の縁で体を丸めていることでしょう。

 止めてくれる人を待っているのです。

「良い」の一言を待っているのです。

 それがわたくしの存在証明となりましょう。

 わたくしに言葉をかけてくださる。この臆病者に慈愛をくださる。

 なんと幸せなことか。

 そこに不幸があったとしても、この感動を忘れることはないでしょう。

 わたくしは臆病者でございます。

 いつも怯え、暮らし、心を無にしながら生きようと必死です。

 今も書き、発表し、反応を見ている。

「別に独り言だし、これは訓練だ」

 そう思うことで臆病者のわたくしは心を保っているのです。

 今も、これが人の目に晒されることを願っている。

 どうしようもない臆病者なのです。

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